SPECIAL TOPIC光/IP融合で5G超低遅延への道筋示す ネットワークスライスの自動運用も実現

光伝送技術のリーディング企業であるシエナは現在、IP領域も包含するネットワーク自動化・最適化に注力している。狙うのは、世界中で整備が進む5Gインフラだ。光/IP融合に磨きをかけ、産業分野での5G活用に不可欠な超低遅延・高信頼通信(URLLC)とネットワークスライシングの効率運用を実現しようとしている。

産業分野において5Gが真価を発揮するには、2つの条件がある。URLLCが可能になることが1つ。もう1つが、超高速大容量通信(eMBB)と多数同時接続(mMTC)も含めた5Gの特性を使い分けるためのネットワークスライシングの実現だ。

4Gと比べて圧倒的な高速・大容量化と低遅延化をどのように達成するのか、そして、非常に複雑なネットワークスライスの運用をいかに効率的に行うのか。通信キャリアが直面するこの難題を解決するため、世界最先端の光伝送技術をベースとしたソリューションを提示するのがシエナだ。長年にわたりバックホールやメトロ/コア網に光伝送システムを提供してきた同社は、今やIP領域にもポートフォリオを拡充。さらに光/IP技術を融合させた5Gフロントホール/ミッドホール(以下、5G xHaul)向けソリューションの提供も始めている。

光伝送もIP網も運用自動化「使い勝手の良いネットワークへ」高性能な通信サービスを、誰もが柔軟かつ低コストに利用できる5Gネットワークを、シエナはどのように実現しようとしているのか。その基礎になるのが、“Adaptive Network”と呼ぶその製品開発コンセプトだ。

日本シエナの瀬戸康一郎氏はこれを、「ネットワークの性能を最大限に引き出し、かつ使い勝手の良いネットワークを作る」ためのビジョンだと説明する。SDN技術を駆使してプログラマブルなネットワークインフラを構築し、リアルタイムに収集した情報で可視化・分析。それを基に、より安定的かつ高性能な通信サービスを提供できるようインフラを自律制御する。光伝送はもとより、IPネットワーク向け製品も同様のコンセプト“Adaptive IP”に基づいた開発が進められている。

日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング本部 本部長の瀬戸康一郎氏(左)と、シニア・ソリューション・アーキテクトの小林聡子氏

日本シエナコミュニケーションズ システムエンジニアリング本部 本部長の瀬戸康一郎氏(左)と、シニア・ソリューション・アーキテクトの小林聡子氏



ハードウェア製品としては、光伝送の機能も備えたルーターを豊富にラインナップしている。目玉製品の「5171」は、光トランシーバモジュールを挿入して最大400Gの長距離伝送が可能だ。そのほか、5G xHaul向けモデルも「5164」「5166」「5168」と複数揃える。いずれも「SRやTI-LFAといったキャリア網で使われるプロトコルや機能にフォーカスして実装を進めている」(瀬戸氏)。

そして、これらの製品で構築するネットワークインフラからフロー情報を収集し、分析・可視化を行い、制御までを自動化するソフトウェア製品も充実している。核となるのが、分析・可視化機能を持つ「Blue Planet Route Optimization Analytics(ROA)」だ。トラフィック分析機能やトポロジーの自動作成・表示機能等を備え、ネットワークの状態をリアルタイムに可視化する(図表1)。

図表1 ROAによるネットワーク最適化

図表1 ROAによるネットワーク最適化

加えて、「パフォーマンスの変化に応じて“より性能が向上する推奨ルート”も提案する」と日本シエナの小林聡子氏は話す。運用者が承諾すれば、Rest APIを使ってNMSへ司令を出し、自動的にルーターへ適用することも可能だ。「適切なルートを推奨し、設定変更まで含めて運用をできるだけ自動化する。コスト削減、サービスデリバリーの迅速化につながり、さらに加入者の満足度向上にもつながる」(小林氏)。

なお、ROAのIPトラフィック分析機能やトポロジーの自動作成・表示機能等のIPネットワーク運用を省力化・自動化する一連の機能は、シエナ製品だけでなく、標準仕様に準拠する他社製品に対しても使える。マルチベンダー対応も、ROAの大きな特徴だ。

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