IoT市場、次はマレーシアを狙え! インダストリー4.0でポテンシャル大

IoT事業の海外進出は、マレーシアから始めるのが正解だった。同国で外資企業のIoTが求められる背景や、事業の進め方、ニーズなどを、現地で日本企業を支援するTKインターナショナルに聞いた。

IoTを活用して生産性を向上させる取り組みが世界各地で行われているが、その動きはマレーシアでも活発だ。

2018年10月、マハティール首相(当時)は国家政策としてマレーシア版インダストリー4.0となる「Industry4WRD」を発表。2025年までの目標として、製造業における1人当たりの労働生産性を2016年から30%引き上げることや、GDPに対する製造業の寄与額を3920 億リンギに伸ばすこと、製造業における高度熟練労働者比率を35%に向上させることなどを掲げ、それらを実現する技術として、IoTやAIなど11のテクノロジーを示している。

図表1 Industry4WRD 概要
図表1 Industry4WRD 概要

同政策の中で指摘されていることの1つが、特に中小企業の製造業の生産性が低いことだ。「低賃金の従業員が人海戦術でやっていくような、従来型のモノづくりは限界に来ている。IoTなどを活用して、単純作業は機械化するなどして全体の最適化を図り、高い生産性を維持できる仕組みに変えていくことが求められている」とTKインターナショナルの阿部慎吾氏は説明する。

TKインターナショナル Managing Director & CEO 阿部慎吾氏
TKインターナショナル Managing Director & CEO 阿部慎吾氏

Industry4WRDの実現にあたっては、マレーシア国内にソリューションを提供するプレイヤーが少ないこともあり、外資企業への期待があるという。「マレーシアでは特にIT企業が優遇されている。会社も作りやすいし、MSC(Multimedia Super Corridor)ステータスという資格を取れば、減税やビザが発行されやすくなるなど様々な優遇措置が受けられる」

また、近年「IoTやSaaSなどの日本のITサービス事業者が、マーケットを拡大するためにマレーシアでパートナー企業を見つけたり、会社を設立したりするケースが出てきている」という。

TKインターナショナルはそうした日本企業と連携し、マレーシアの市場調査やコンサルティングから、実証実験、セールスなどを幅広くサポートする現地法人だ。日本企業が持つ製品やソリューションを同社が現地のニーズに合わせてアレンジし、納品からサポートまで担当、海外で販売できるようにしている。JETROやMDEC(マレーシア・デジタルエコノミー公社)と連携して市場調査やセミナーなども行っている。

図表2 TKインターナショナルとの共同プロジェクトの流れと、受けられるサポート
図表2 TKインターナショナルとの共同プロジェクトの流れと、受けられるサポート

これまでに、横河電機グループのIoTサービス事業者、アムニモと協業し、同社の産業用IoT製品/プラットフォームをマレーシアの展示会に出展したり、現地のパートナー企業の開拓などをサポートしている。また、再生可能エネルギー関連のシステムを開発、提供しているエナジー・ソリューションズが、IoTでソーラー発電施設を遠隔監視できるクラウドサービスを展開する際には、太陽光発電とモニタリング事業についての市場調査から協業パートナーの募集、展示会出展、IoT関連デバイスの現地調達までを一貫して支援した。

月刊テレコミュニケーション2020年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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