ガートナー ジャパンは2020年9月10日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル：2020年」を発表した。

ハイプ・サイクルとは、テクノロジやサービス、関連する概念、手法など (以下、キーワード) の認知度、成熟度や採用状況、および各キーワードが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを視覚的に示したもの。今回発表した本ハイプ・サイクルでは、インフラストラクチャのテクノロジのうち、特に未来志向型と捉えられるものや、トレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを取り上げている。

日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル：2020年

5G（第5世代移動通信システム）については、「過度な期待」のピーク期に位置するとした。COVID-19のパンデミックを受け世界各国でビジネスが停滞していることから、2020年に予定されていた5Gの標準化や開発関連の動向にも影響が及び、検証などが遅れているケースが見られるという。

その一方で、5Gを介したリモートからの各種作業の支援などに対する期待が膨らんでおり、移動体通信事業者やサービス設備を提供するベンダーが既にさまざまな検証を実施し、現在は、標準化が待たれる機能を含め、商用化に向けた準備がさらに進むフェーズに入っていると指摘。5Gには、携帯電話やスマートフォンに向けた単なる通信サービスではなく、自動車や工場、店舗、家電製品など多様なモノのデジタル化をスコープに入れたテクノロジとして開発されている背景があるため、IoT (モノのインターネット) やAI (人工知能) の導入を加速させ、デジタル化を大きく促進する可能性も秘めているとした。

そのほか、2019年版では幻滅期の谷に向かっていた「モノのインターネット」「量子コンピュータ」「DevOps」「人工知能」「スマートロボット」「ブロックチェーン」「拡張現実 (AR)」は、2020年版でも同様に谷底へ下降し続けている。一方、同じく幻滅期にある「ロボテック・プロセス・オートメーション」と「デジタル・ヘルス」は谷底を脱し、本格的な普及期に移り始めたしている。