キーパーソンが語る

総務省 田原電波部長「ローカル5G本格化に心配なし。6Gはグローバル・ファーストで」

聞き手◎太田智晴(編集部) 2020.06.10

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総務省 総合通信基盤局 電波部長
田原康生氏

「5GをはじめとしたICTを徹底的に使いこなす社会を早急に実現する必要があると痛感している」――。新型コロナウイルスによる危機が全世界を襲う中、総務省の田原電波部長はこう語る。いよいよスタートした5Gやローカル5Gを今後どう発展させていくのか。また、早くも国際競争が始まったBeyond 5G(6G)の勝ち筋をどう描くのか。日本の将来を大きく左右する移動通信戦略について聞いた。


――日本でも5Gサービスがいよいよスタートしました。しかし期待が高まっていた分、エリアの狭さなどにがっかりされた方も少なくありません。

田原 昨年4月に電波を割り当てた際に各社から出された開設計画を見て、最初はかなり限定的なエリアになるだろうと予想していたので、皆さまから「期待外れ」というご意見は頂くだろうと考えていました。ミリ波を使いこなすのに、まだ各社は苦労されている印象です。とはいえ、当初の計画と比べると、前倒しで整備が進んでいます。皆さん、頑張っていると思います。

――5Gに現在割り当てられているミリ波の28GHz帯とSub-6(6GHz以下)の3.7GHz/4.5GHz帯は、どちらも今まで移動通信に使われてなかった高い周波数です。広帯域を確保できるメリットがある反面、遠くまで電波が届くにくい特徴を持っています。

田原 特に28GHz帯はそうですが、Sub-6の3.7GHz/4.5GHz帯も従来より高い周波数の電波ですから、それほど遠くには飛びません。基地局数がまだ少ないこともあり、どうしてもエリアは限定的になります。5Gのエリアをより広い面で作っていくためには、より低い周波数を使っている4Gバンドの5G化が必要になります。

 

 

総務省 総合通信基盤局 電波部長 田原康生氏

 

 

――4Gバンドの5G化は、いつ頃から可能になるのですか。


田原 制度整備は夏には終わりますから、今年度の後半には、4Gバンドへの5G導入が可能になります。ただ、要は4Gバンドを削り、5Gに使うという話ですから、バランスを取りながらでないと4Gユーザーの通信速度が遅くなってしまいます。

――では、5Gユーザーの拡大に合わせて、5Gのエリア拡大に弾みが付いていくということですね。

田原 そうですね。具体的な展開戦略は各社に委ねられていますが、例えばソフトバンクは以前から4Gバンドへの5G導入について積極的に発信しています。

ただ、4Gバンドの5G化により、5Gのアンテナピクトが立つエリアが広がれば、「それでよし」とは我々も決して考えていません。広い帯域幅を使い、5G本来の性能が出せるSub-6やミリ波によるエリア整備を「しっかりやっていただきたい」と各社にはお願いしています。NTTドコモやKDDIは、Sub-6等の基地局をかなり前倒しで整備すると発表していますので、5Gの超高速性が出せるエリアもどんどん増えていくと思います。

――5Gに関しては「海外と比較し、日本は出遅れているのでは」という指摘も多く聞かれますが。

田原 想定以上に中国や韓国は「スタートダッシュを図ったな」との感想は持っていますが、そうは言っても5Gはまだ始まったばかりです。

5Gらしいサービスは、4Gバンドの5G化によって面を作りながら、4Gと連携するノンスタンドアロン(NSA)構成から5G単独のスタンドアロン(SA)構成に移行していく中で本格化していきます。その中で日本はしっかり戦っていけばいいと考えています。
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著者プロフィール

田原康生(たわら・やすお)氏

1988年、郵政省採用。総務省 情報通信政策局 技術政策課 研究推進室長、総合通信基盤局 電気通信事業部 電気通信技術システム課長、総合通信基盤局 電波部 移動通信課長、情報通信国際戦略局 技術政策課長、総合通信基盤局 電波部 電波政策課長、九州総合通信局長を経て、2018年7月より現職

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