企業ネットワーク最前線

[特集]ネットワーク未来予測 2019

Wi-Fiが“10年ぶり”大進化――無線LANを変える3規格が一斉に登場

文◎坪田弘樹(編集部) 2019.02.08

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

HPE 黒川孝治氏

2019年以降、無線LANは大きな進化を遂げる。次世代高速規格「11ax」に加え、新たなセキュリティ標準「WPA3」と「Enhanced Open」も登場。利便性と安全性を高めた次世代Wi-Fiの導入が始まる。

 
Wi-Fiに対する不満と懸念は、「混雑するとつながらない(遅い)」と「盗聴等のリスクが心配」の2つに集約される。つまり、(1)多数のユーザーが集中する高密度環境における通信の安定性と、(2)セキュリティリスクだ。

2019年から、これを解決する次世代Wi-Fiの普及が始まる。次世代高速規格「IEEE802.11ax」(以下、11ax)と、新たなセキュリティ規格「WPA3」「Enhanced Open」だ。

11axは、これまで“最高速度”を追求してきたWi-Fiの進化の流れを変え、“実効速度”の向上にフォーカスした規格だ。WPA3も、10年以上使われてきたWPA2を置き換えるものである。そして、Enhanced Openは公衆Wi-Fiの安全性向上を目的として策定された新規格だ。

この3規格すべてに対応した初のWi-Fiアクセスポイント(AP)が、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)傘下のArubaから先ごろリリースされた。日本国内では2019年第1四半期に発売される「ArubaAP510シリーズ」だ。以下、HPE エンタープライズグループ事業統括 ネットワーク事業統括本部 エンタープライズ技術部 コンサルティング システムエンジニアの黒川孝治氏への取材を基に、新規格の特徴と影響についてレポートする。

なお、Wi-Fi規格の名称については、認証団体であるWi-Fi Allianceが2018年10月に、「IEEE802.11xx」という表記に代えて、より分かりやすい呼称を採用すると発表した。今後、11axは「Wi-Fi6」と、11acと11nは「Wi-Fi5」「Wi-Fi4」と呼ばれる。技術的には引き続き11ax等の名称が使われるため、本稿でも両方を使い分けることにする。

スループットは4倍以上11axの最大の特徴は前述の通り、実効速度の向上だ。

かつて2000年代末に、チャネルボンディングとMIMOの採用によって飛躍的な高速化を果たした11nが登場したことでWi-Fiの利用シーンは大きく広がった。11axはそれ以上の変化をWi-Fiにもたらす可能性がある。

理論上の最高速度は11acの1.4倍となる9.6Gbpsであり、これまでの世代交代に比べて伸び幅は小さい。ところが実効速度のほうは、もちろん環境によるが、11acに比べて4倍以上改善すると言われている。周波数の利用効率を高めることで、端末が混み合った状態でも快適に通信できるようにする「マルチユーザー(MU)伝送」技術が組み込まれたからだ(図表1)。

 

図表1 11acと11axの比較
図表1 11acと11axの比較


これを実現するため採用された技術の1つがOFDMAだ。1チャネル(サブキャリア)の帯域を分割して複数のユーザーに割り振る技術である。

11acまでのOFDMでは、図表2の左側のように、User3(赤)が通信するにはUser0~2の送信終了を待たなければならなかった。OFDMAでは必要に応じて帯域を分け合うため、待ち時間が短縮する。特に、短いパケットを送る端末が多重する際に伝送効率が大きく改善する。

 

図表2 OFDMとOFDMAの比較
図表2 OFDMとOFDMAの比較


「これまでのWi-Fiは各端末が自律的に送受信を行うだけだったが、11axではAP側で制御を行う」と黒川氏は違いを説明する。11axではこのOFDMAを上り・下り通信ともに利用できる(下りは必須要件、上りはオプション)。「上下とも端末間でタイミングを合わせられるので、通信効率が向上しAP全体のスループットが上がり、また遅延の改善も期待される」。

もう1つ、11ac wave2(第2世代)で下り通信に採用されたMU-MIMOが、11axでは上り通信にも適用される。MU-MIMOとは、APに複数の端末がつながっている場合に、端末ごとに異なる電波(ストリーム)を使って同時送信を行う技術だ。最大ストリーム数も、11acの4から8に拡張されている。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

juniper2003
citrix2003
softbank2003

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】6Gへ Beyond 5Gへの挑戦
<Part1>6Gは究極の無線通信 <Part2>総務省の6G推進戦略 <Part3>韓国の6G商用化は2028年 <Part4>100ギガ無線へのトビラを開くテラヘルツを人類の手に <Part5>6Gの重要コンセプト「超カバレッジ拡張」 <Part6>6Gへつながる進化の道筋「5G evolution」の全貌 

[インタビュー]東京大学 教授 中尾彰宏氏「ローカル5Gに価格破壊 王道と違う6Gへの道を探求」 [ソリューション特集]スモールビジネスWi-Fi [事例研究]ミクシィがホワイトボックス導入 ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

都築電気テレワークと健康経営の実践4年目
その知見をワンストップで提供

働き方改革を推進する都築電気がテレワークに最適なグループウェア!

ドコモ・システムズNTTグループ23万人を支える
テレワークツール

伝統的な日本企業が作ったツールだから、かゆい所に手が届く!

WhatsUp Goldネットワーク監視に圧倒的使い勝手
安価な導入コストでも厚い支持

中小企業から通信キャリアまで、WhatsUp Goldが人気の理由とは?

MOVEit Transfer / MOVEit Automationデータ保護新時代のファイル転送
HIPPA、GDPRなど各種規制に対応

主要データ保護規制に準拠した安全なファイル転送ソフトの決定版!

moconaviBYODもセキュリティもこれひとつ
本当に明日からできるテレワーク

業務システムのリモート利用や公私分計をセキュアに実現するmoconavi

アライドテレシススモールビジネスのWi-Fi整備は
プロにおまかせ!

アライドテレシスなら安く・早く・楽に・安全に導入・運用してくれる

ソネットSMBに“ちょうどいい”Wi-Fi

高コストはかけたくないが、家庭用では性能が足りない。そんなジレンマを解決できるWi-Fiがあった!

ジュニパーネットワークス“ただのSD-WAN”はもう要らない!
LANもWi-Fiもすべてクラウド管理へ

今必要とされているのは、
“SD-WAN+α”のソリューションだ。

Citrix SD-WANシトリックスといえば「UX重視」
その哲学はSD-WANにも!

情シスも現場も幸せになれる
「SD-WAN」がここにある。

ソフトバンク目的・用途別にSD-WAN使い分け!
ソフトバンクが“3つめ”を出す理由

IaaS利用に最適な新SD-WANで
企業のクラウドシフトをサポート!

ブロードメディア・テクノロジーズAryakaの“SD-WAN as a Service”
なら全部お任せできる!

AryakaのSD-WANはコアからラストマイルまで一括で運用を任せられる

東京エレクトロンデバイスクラウド基盤にお勧めのWAF
高い検知性能でコスト削減

WAF市場のリーダー、F5製品は多角的分析による検知精度の高さが特徴だ

一般社団法人新規事業・新規市場創出研究会国内唯一の5G/6G調査研究会!

「5Gでの日本の遅れを取り戻したい」。5G、6G、MaaSをテーマにした調査研究会が4月に運営開始する。

sXGPsXGPはローカル5G導入の第一歩

まもなく帯域が拡張されるLTEベースの自営無線「sXGP」は、ローカル5G導入のファーストステップとなる!

マクニカネットワークスHACCP対策の切り札となるIoT
LoRaWANで冷蔵庫内もデータ取得

食品業界に義務付けられるHACCP。IoTで手間と人為的ミスを削減できる

住友商事マシネックスついにオラクルがSD-WANに参入!
 クラウド接続に最適な高品質NW

Oracle Failsafe SD-WANは、ネットワーク品質を劇的に変化させる。

APRESIA Systemsローカル5G参入を強力サポート

APRESIA Systemsの「ローカル5Gシステム」はローカル5Gに必要な機能に絞り込み、導入を強力サポート

アクセスランキング

tc_banner191122

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます