LPWA市場に必要なのは「競合」ではなく「協調」、IDC Japanが3つの課題を明らかに

IDC Japan2019115日、国内LPWALow Power Wide Area)市場におけるLPWAサプライヤーの取り組みに関する調査結果を発表した。これによると、LPWAの普及を図るうえで各者が共通して直面する課題が、大きく3つ明らかになったという。

1つめは「高コストなLPWAデバイス」。市場では、LPWAをきっかけにIoTの案件が急拡大すると実感されていないため、チップ/通信モジュールなどのメーカーの量産投資が漸進的にならざるを得ない。そのため、通信料金は安くとも、ユーザーは高いデバイスを購入する必要がある。

2つめは、「不透明なLPWA事業の収益性」だ。LPWAが普及するためには、ユーザーが負担するコストが下がるだけでなく、LPWAサプライヤーの収益見通しが確保される必要がある。

LPWAはネットワーク構築のための投資が少なくて済む分、競合との競争上、回線料金を低く設定せざるを得ず、回線自体は薄利多売になる。そのため、安定した事業運営のためには、回線事業だけに過度に依存しないビジネスモデルの確立が必要としている。

3つめは「高まらないユーザー企業のIoTイニシアティブ成熟度」。国内企業はIoTに限らず、デジタルトランスフォーメーション全般の成熟度が海外よりも低いため、ユーザーがIoTを実施するうえでのハードルを下げる取り組みが求められる。

IDCはこれらの課題への対策として、LPWAサプライヤーは競合領域と協調領域とを切り分け、協調領域においては協同して共通の課題を解決する施策を実施することが必要としている。その一例として、同社は先行事例コンテンツの共同デジタルマーケティングなどを挙げた。

また、ユーザーがIoTを実施する際のハードルを下げるため、LPWAサプライヤーが、ユーザーコミュニティの形成やユーザー企業と開発企業のマッチングを積極的に行うべき段階にあるという。

IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの敷田康氏は「LPWAサプライヤーは、多くのユーザーや開発者が主体的にコミュニティを形成するためのきっかけ作りを行い、その創造性や共感欲求を刺激する情報や環境を提供することで、自社で大きな手間をかけることなく回線契約数を増加させる状況を作り出す必要がある」と述べている。

LPWAエコシステムの概要と普及阻害要因

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