iOS 7でスマートデバイス管理はどう変わるのか[前編]――MDM土台にMAM/MCMが連携

iOS 7では、企業ユーザーが利用する機能が大幅に強化された。iPhone/iPad 導入企業が押さえておくべきアップデートの内容と、MDM/MAM/MCMの機能や使い方への影響を解説する。

2013年9月にリリースされたiOSの最新バージョン「iOS 7」は、フラットデザインを全面採用したUI(ユーザーインターフェース)の大胆な刷新が大きな話題を呼んだが、実はビジネス向けにも大掛かりな機能強化が図られている。デバイス導入、運用改善、セキュリティ対策に関わる機能が大幅にアップデートされており、スマートデバイスの導入を検討する企業にとって重要なリリースとなった。

アイキューブドシステムズは、iPhone/iPadのビジネス利用に取り組む企業を支援する独立系ベンダーとして、2010年よりiOS向けMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)サービス「CLOMO MDM」を提供しており、13年6月段階で導入実績5500 社、国内No.1のシェアを獲得している。

現在、CLOMOはiOS 7への最適化を順次進めている最中だが、その過程で、企業ユーザーにとってのiOS 7の価値について、あらためて再認識させられた。今回と次回の2回に分けて、それらを紹介していく。

なお、CLOMO MDMは現在、iOSだけでなくAndroidやKindle Fireもサポートしているが、アップル社からApple Consultants Networkのメンバーに認定され、iOS 搭載デバイスへの対応スピードや、きめ細かい対応に強みを持っている。また、MDMサービスだけでなく、iOS上で稼働する各種アプリケーションやサービスの開発にも長く取り組んでいる。

「もうMDMは不要」は誤解 ビジネス利用の運用基盤に

図表1に示す通り、iOS 7はビジネス利用向けにさまざまな機能強化が施された。

図表1 iOS 7で追加された企業向けの主な機能一覧
iOS 7で追加された企業向けの主な機能一覧

こうした機能強化について、「従来のMDMサービスに取って代わる機能がiOSに搭載された」と評価してしまいがちだが、実は、それは誤解である。iOS 7は、「ビジネス利用におけるMDMサービスとの連携機能が強化され、その重要度がさらに増した」というのが正しい。

つまり、今回のiOS 7のビジネス向け機能強化は、iPhone/iPadのビジネス利用においてMDMサービスを、運用や管理を担う重要な構成要素として、アップルがiOSに正式に搭載したと言い換えることもできる。

後述するように、スマートデバイスの高度な活用のためには、デバイスだけでなくアプリやコンテンツの管理・運用も欠かせない。iOS 7では、MDMサービスと組み合せることで、これらの面で大幅な機能強化が図られている。

つまり、従来のMDMを越え、MAM(Mobile Application Management: モバイルアプリケーション管理)や、MCM(Mobile Contents Management:モバイルコンテンツ管理)」を行うための基盤サービスとしてMDMサービスが採用され、大幅に進化したのだ。

実際に、アプリの運用・管理を行う前には、デバイスの利用状況を把握して、デバイスのポリシー(カメラアプリの制限やパスワードルールなど)を変更するなど、部署異動や配置転換などに伴って、デバイスの設定の変更や再配布を行う場合もある。そのためにMDMに取り組む必要があることは言うまでもないだろう。コンテンツにおいても同様のことが言え、MDMは、MAM、MCMに取り組むうえでも、土台となる必須の機能であり、MAMとMCMとの関係性が非常に高い(図表2)。

図表2 MDM/MAM/MCM の関係性イメージ図
MDM/MAM/MCM の関係性イメージ図

なお本稿では、デバイス、アプリ、コンテンツ、それぞれの管理・運用を行うことを「MDM」「MAM」「MCM」と呼び、それらに必要な機能を提供する製品を「MDMサービス」「MAMサービス」「MCMサービス」と呼ぶこととする。

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