iOS 7でスマートデバイス管理はどう変わるのか[前編]――MDM土台にMAM/MCMが連携

iOS 7では、企業ユーザーが利用する機能が大幅に強化された。iPhone/iPad 導入企業が押さえておくべきアップデートの内容と、MDM/MAM/MCMの機能や使い方への影響を解説する。

スマートデバイス活用と共に管理対象も広がる

iOS 7についての詳細な話に踏み込む前に、MDMとMAM、MCMの関連性と、なぜこれらが必要なのかについて、おさらいしておきたい。

スマートデバイスをうまく活用すれば、従業員は時間や場所を選ばずに業務を遂行できるようになり、ひいては生産性の向上、会社全体の売上向上や収益改善を実現できる。また、在宅勤務やモバイルワークといった新たなワークスタイルを促進する上でも極めて有効だ。

しかし一方で、スマートデバイス特有の課題も存在する。スマートデバイスは可搬性に優れることが最大のメリットだが、裏を返せば、社外に持ち出した際に紛失・盗難に遭い、貴重な情報を流出させてしまうリスクが高いことも意味する。そのため、スマートデバイス導入に当たっては、端末を遠隔でロックしたり、データを消去できる「リモートロック」「リモートワイプ」の機能を装備したMDMサービスの導入検討が必須となっている。

「導入しっぱなし」を防ぐ
そして、スマートデバイス導入の目的達成と、それに向けた活用の高度化を実現するためには、導入後の利用状況の把握と運用改善が不可欠となる。導入後も、現場での利用状況を定常的にチェック・分析し、絶えず運用面や利用面の改善を繰り返すことで成果を生み出し、導入目的の達成に近づいていくものなのだ。

事実、CLOMOをスマートデバイスと併せて導入し、大きな成果を挙げている企業のほとんどは、このプロセスを絶えず実行し続けている。例えば、リコージャパンでは、当初は250台という限られた数のiPadを導入し、利用しながら徐々に活用法を改善、実に2年間をかけて費用対効果の把握と改善を繰り返し、最終的には6000台ものiPadを全国の営業拠点へ展開するに至った。その結果、「成約率2倍アップ」という導入効果を実現した。

逆に、管理者の手の行き届かない場所で、どのように使われているか把握できなければ、セキュリティリスクが高まるだけでなく、運用面の改善は望めない。結果として、「導入しっぱなし」の状態から抜け出せず、目的は達成できなくなる。実はこれが、スマートデバイスの企業利用において最も考慮すべきポイントと言える。

3段階で考える運用管理
もう1つ、押さえておくべきポイントは、活用が進むにつれ、管理や運用の手間が増えることだ。デバイスだけでなく、その上で稼働するアプリを管理・運用する必要性に迫られてくる。そして、さらなる高度化を目指すと、アプリ上で利用されるコンテンツも管理する必要が生じ、よりきめ細かな運用やセキュリティ対策が必要となる(図表3)。

図表3 活用の高度化に必要な管理・運用の3 段階(MDM / MAM / MCM)
活用の高度化に必要な管理・運用の3 段階(MDM / MAM / MCM)

このように、「MDM→ MAM→MCM」と、管理対象の粒度が細かくなり、範囲も広がるため、それに伴い、管理・運用に要する手間も増えてくる。ここで言うコンテンツとは、PDFファイルや動画に限らない。メールデータやスケジュール、連絡先情報など業務に利用されるデータはすべて管理対象となり得る。

加えて、デバイスの台数自体も増加すると、組織内の様々な部署に展開され、配布箇所の役割に応じた適切な利用が求められる。結果として、複数のITポリシーを管理・運用する必要にも迫られ、管理・運用の手間は、さらに拡大することとなる。

このように、本来の目的である“活用”へ意識を向けると、見落とされがちな運用面の負担は段階的に大きくなることが予想される。したがって、iOS 7によって、MDMとMAM/MCMの高度な連携が実現されることは、企業のスマートデバイス活用において重要な意味を持つのだ。

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