WCPが「AXGP」の優位性をアピール――屋外デモで60Mbps超を達成

ソフトバンクグループのWireless City Planning(WCP)は2012年1月18日、AXGPサービスの説明会と屋外でのデモンストレーションを開催した。AXGPはウィルコムのXGPを発展させた方式であり、理論値で下り最大110Mbpsを実現、2011年11月1日から試験サービスを実施している。2月以降にソフトバンクモバイルがMVNOとして「SoftBank 4G」の商用サービスを開始する予定だ。

執行役員CTO兼技術統括部長の近義起氏

登壇した執行役員CTO兼技術統括部長の近義起氏はAXGPなどで採用している時分割複信(TDD)とLTEなどが採用する周波数分割複信(FDD)を比較。相互に話す音声通話を前提に開発されたFDDは、上り下りの周波数を分けて使うが同じ容量が取れるように設計されている。しかし、インターネットのトラフィックはダウンロードが圧倒的に多く、非対称で大容量になる。このため、「上り下りを同じ周波数帯で利用し、時間によって上り下りに割り当てる時間を自由に設定できるTDDは非常にモバイルインターネットに向いたシステム」と語った。

FDDとTDDの違い

エリア展開については、2012年度末で政令指定都市の99%をカバーする予定で、「人口カバー率は92%になる」という。ウィルコムの設備を活用することで、基地局の増設も最短3カ月で可能になる。

ネットワークの構築に当たっては、「クラウド基地局」と呼ぶ技術を採用した。通常は基地局ごとに設置するBBU(Base Band Unit)で30~50の基地局を束ねて制御する。これにより、アンテナ同士の干渉を抑制できるなど、ネットワーク品質が向上。「同時にコスト削減も実現できる」(近CTO)という。

「クラウド基地局」のイメージ

3つの屋外デモでアピール

説明会後に実施されたAXGPの屋外でのデモは、東京都心部をバスで移動しながら実施。中国ファーウェイ・テクノロジーズ製USB型AXGP端末「E392」を利用し、(1)スループット、(2)HD動画、(3)FaceTimeの3つのデモが行われた。

(1)は銀座から東京駅周辺を低速で移動したり停車したりしながらFTPによるファイルダウンロードを実施。基地局はルート周辺のビル屋上に設置されており、条件のよい東京駅周辺に停車した時は下りで60Mbpsを超えることもあった。説明員によると「平均20M~30Mbpsは実現できている」という。ちなみに、デモで使用した端末は最大76Mbpsに対応している。

デモ中、何度か60Mbpsを超えた

(2)はHD動画データを再生しながらダウンロード。記者が参加した回は多少時間がかかったものの、ダウンロードしたキャッシュに再生が途中で追いついて停止することはなかった。説明員によると「前の回のデモでは約4分の動画が1分20秒弱でダウンロードできた」という。

(3)はiPad 2を利用し、銀座のレストランとつないで実施。音声遅延も画像の乱れもなく快適に会話ができていた。

「FaceTime」のデモは終始スムーズで、遅延が気になることはなかった

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