日本の通信事業者を取り巻く環境が激変している。政府の方針を受け、携帯電話各社が相次いで新たな料金プランを発表したことは記憶に新しい。「土管」を提供すれば事足りる時代は終わり、5GやIoTといった新たな技術を生かし、GAFAのようなブラットフォーマー、MaaSの展開を検討する自動車産業といった新たな競合企業との競争も視野に入れながら、顧客のニーズに合ったサービスを迅速に展開しなければ、生き残りも危うい時代に突入しつつある。
日本の通信事業者は長年にわたって通信品質の高さを追求し、それゆえに慎重にサービスを開発してきた。そこには多くの利点もあったが、激変する市場の中では、これまでのやり方を変え、エンドツーエンドで迅速にサービスを展開できるプラットフォームが必要とされている。ServiceNowではそんな課題に取り組む通信事業者に向けたソリューションを提供している。
分散していた業務フローを1つのプラットフォームに統合するServiceNow ServiceNowは国内でも多くの企業で採用されているが、もっぱらITサービスマネジメント(ITSM)の印象を持つ人が多いかもしれない。だが実は、ITSMは製品のほんの一部で、同社が目指しているのはより大きな「Platform of Platforms」という構想だ。
図表1 Platform of Platforms(画像クリックで拡大)
「ServiceNowの目的は、付加価値の低い仕事、定型的な仕事は次々と自動化してシステムに任せ、人は人にしかできない付加価値の高い仕事に専念できるようにすることです。同時に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通して付加価値の高い仕事の創造を支援し、両面で世の中を変えていくことがミッションです」と通信営業本部 本部長の御厨健悟氏は語る。
第一営業統括本部 通信営業本部 本部長 御厨健悟氏
このビジョンに向け同社はITSM製品を含む「IT Workflows」を皮切りに、人事・総務向けの申請システムや従業員向けポータルといった「Employee Workflows」、ヘルプデスクなどのカスタマーサービスを支援する「Customer Workflows」を、「Now Platform」というプラットフォームをベースに、さまざまなデジタルワークフローエンジンとテンプレートを組み合わせて展開している。
もちろん「餅は餅屋」で、営業や財務など特定分野で実績のあるプラットフォームやアプリケーションもある。御厨氏は「ServiceNowだけですべての業務ができるとは思っていません」とも述べ、外部のサービスとも柔軟にかつ簡易に連携できる仕組みを用意し、エンドツーエンドで業務フローを回していくことも可能だ。さらに、企業独自のアプリケーションが必要になる部分については、「Creator Workflows」に含まれるAppEngine製品を用い、GUI上で部品を組み合わせていくだけ、いわゆる「ノーコード、ローコード」でアプリケーションを開発できる仕組みも用意している。
こうした仕組みを活用することで、たとえばヘルプデスクに寄せられた顧客からの問い合わせを元にバックエンドで設定変更を行い、その履歴を管理しレポートするという一連の流れを一気通貫のワークフローとして管理することができる。御厨氏によると「プラットフォームであるがゆえに、一部の部署でのServiceNowの利用が、その効果・利便性の高さから社内全体での利用へと広がっている」状況で、国内のシェアも拡大中だ。