各地で実証実験やトライアルが進められるなか、ローカル5G実用化への課題が整理されてきた。真っ先に解決すべきものは、やはり初期コストの高さと運用の難しさだろう。
初期コストを下げるための取り組みは、複数の観点で進められている。1つが仮想化/ソフトウェア等による「基地局設備の低廉化」だ。加えて、アンテナを小型化することで、設置工事や運用の手間・コストを軽減することもできる。
もう1つが、コアネットワーク設備のクラウド化である。コア機能の一部または全部をSaaS型で利用できるようにすることで初期コストが抑えられ、スモールスタートとその後の拡張が容易になる。
また、今年末(予定)以降にSA(スタンドアロン)構成が可能になれば、アンカーが不要になるため、これも初期コストの低減につながる。
この「クラウドコア」「SA」はともに、運用負荷の解消にもつながる。コア機能をSaaS型で利用できるようになれば、メンテナンスや障害対応をSaaS事業者に任せられるからだ。SAも、NSA(ノンスタンドアロン)に比べて管理対象が減る。
なお、SA化と同時に、28GHz帯に比べて電波が飛びやすいサブ6帯(4.5GHz帯)が使えるようになれば、置局設計や電波調整の手間が減り、運用負荷はさらに軽減される。
一方で、AI技術等を活用し、通信品質の監視・制御を自動化する「運用自動化」技術の開発も進んでいる。セルラーシステムを初めて扱う企業にとって大きな助けになるものだ。
もう1つ、ユースケース開拓を促進するうえで重要なのが、携帯キャリアが展開する「パブリック5Gとの連携」だ。単一のデバイス/アプリを、ローカル5Gとパブリック5Gでハンドオーバーしながら使えるようになれば利便性が高まり、アプリ/サービス開発の後押しになる。
これら「基地局設備の低廉化」「クラウドコア/SA」「運用自動化」「パブリック5G連携」の4つは、ローカル5Gの今後の普及を左右するポイントと言える。現在進められている技術開発の最新動向を見ていこう。