<特集>工場5G - ローカル5Gで実現するスマートファクトリー5G時代の工場ネットワーク進化論

IoT/デジタル化を見据えて工場ネットワークで起こる変革は無線化だけではない。産業用イーサネットはTSNの実装により“第3世代”へと進化。ITとOTネットワークの融合も加速する。

IoT/デジタル化を進めるに当たって、工場ネットワークが解決しなければならない課題は主に2つある。

1つが、IT/OTネットワークの連携・融合だ。

工場には大きく分けて生産現場の制御系ネットワーク(OT系)と、オフィス等のOA/生産管理システムが属する情報系ネットワーク(IT系)があり、両者は相互接続されていないことが多い。互いに影響を及ぼすことを避けるため、そしてセキュリティリスクを排除するためだ。

したがって、スマートファクトリーを実現するためには、生産現場のOT系設備からIoTデータを収集するためのネットワークを新規に構築し、これを情報系ネットワークと相互接続してデータの送受信ができるようにしなければならない。

省配線化が急務に複雑に入り組んだ工場ネットワークの省配線化/シンプル化も必要だ。これが2つめの課題である。

製造業では現在、変種変量生産という新たなトレンドに対応するために、機械・設備配置の柔軟性とシステム構成の自由度を高めることが求められている。その最大の阻害要因がケーブル配線だ。これをシンプル化することで、生産ラインの柔軟な変更が可能になるうえ、配線コストも削減できる。

制御系ネットワークの領域では、このIT/OT融合と省配線化を目指した“世代交代”が、今まさに始まろうとしている。産業用イーサネットの第3世代への移行だ。

それと同時に、情報系では無線通信の利活用が広がる。無線化は省配線の究極形であり、だからこそIT系の領域ではWi-Fi等の活用が以前から行われてきた。生産現場からのIoTデータの収集に加えて、現場作業員がタブレット端末で情報を閲覧するなどの用途で無線通信インフラの導入が進んできている。

ローカル5Gの登場でこの流れは加速する。Wi-Fi 6やプライベートLTEも有力な選択肢となろう。

以下、産業用イーサネットの進化と、無線通信活用の動きを整理しながら、次世代の工場ネットワークの姿を展望しよう。

月刊テレコミュニケーション2020年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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