IT専門調査会社IDC Japanは2019年5月10日、国内ネットワーク仮想化/自動化(SDNを含む)市場の予測を発表した。
データセンター、企業ネットワーク、通信事業者向けを合計した国内ネットワーク仮想化/自動化市場は、2018年の564億円市場から、2023年にかけて年間平均成長率16.5%で拡大を続けると予測した。
適用領域別にみると、データセンターネットワーク仮想化/自動化市場の2018年の前年比成長率は、2017年の82.3%から13.9%に落ち着き、急成長期から安定成長期に移行。導入側でのSDNやネットワーク仮想化/自動化に対する正しい認知の定着と評価が進んだことが理由だという。同市場はネットワーク仮想化/自動化が最も進んでおり、「OpenFlowで始まったSDNブームを超克し、もはや『キャズム』を越えた」と同社は見ている。また、ネットワークの自動化と仮想化は今後のITプラットフォームに不可欠であるため、同市場の2023年にかけての年間平均成長率は9.7%と、成長ペースは鈍化しながらも安定した成長を続ける見込みだ。
企業内のLANにおける仮想化/自動化については、2018年に大きな転換点を迎えたとした。従来、仮想化/自動化技術の中心は、OpenFlowに端を発した企業ネットワークSDNであったが、現在では「継続的/再帰的なネットワーク自動化」「ポリシー/インテントに基づいたネットワーキング」「ネットワーク可視化/アシュアランス」を備えた次世代企業ネットワーク仮想化/自動化ソリューションが市場を牽引しているという。背景には、ネットワーク接続端末の爆発的増加への備えと、デジタルトランスフォーメーションに適応した企業ネットワークの希求があるとIDCは分析する。今後も企業ネットワーク仮想化/自動化市場は力強い成長を続けるとし、2018年~2023年の年間平均成長率は14.1%になると予測した。
国内ネットワーク仮想化/自動化市場について、IDC Japanコミュニケーションズ グループマネージャー 草野賢一氏は「ネットワーク自動化は、何か一つのソリューションを入れて完結するのではなく、自動化の範囲を広げながらそのレベルを継続的に高めていくものである。自動化レベル向上には、ベンダーがソリューションを供給するだけでは持続せず、ユーザー企業の自発的なネットワーク自動化の進化を促すことが必要である」と述べている。