KDDI総合研究所は2018年6月19日、IoTの活用による漁業の効率化に貢献する新型のスマートブイを開発したと発表した。
従来のスマートブイと比べて、大幅な軽量化・省電力化を実現したのに加え、LTEだけではなくセルラーLPWA対応の通信モジュールも搭載可能になったという。
実証実験中の新型スマートブイ(右側)。左は従来のスマートブイ
KDDI総合研究所は、各種センサーや通信機能を搭載したスマートブイにより漁獲量を予測、出漁判断などに活かすことで、漁業の効率を目指す実証実験に取り組んでいる。これまでの実験では、漁獲量の実績データ、スマートブイで得たセンサーデータ、周辺の気象データを組み合わせて分析することで、おおまかな漁獲量を予測可能との結果が得られているという。
ただ、その一方で課題となっていたのが、電池交換作業などブイ運用に関する作業負担の大きさだった。従来のスマートブイが搭載する一次電池の寿命は約1カ月で、定期的な電池交換作業が必要だった。また、重量は20kg以上で、運用作業自体も大変だった。
そこで今回開発した新型スマートブイでは、水による発火の危険性が少ない二次電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)とソーラーパネルを組み合わせ、電池交換などのメンテナンス不要で1年間の連続動作を目指しているという。重量についても従来の50%程度に軽量化し、運用性を向上させた。
さらに、内部の通信モジュールの交換によって、セルラーLPWAの一種であるLTE-M(Cat.M1)など、複数の通信方式に対応可能にしている。
KDDI総合研究所は今年6月から宮城県石巻湾漁場で、新型スマートブイを使った実証実験を開始している。