「マルチクラウドの一番の課題は複雑さ。マルチクラウドになったときのオペレーションを、自動化を使ってシンプルにしていく」
ジュニパーネットワークスは2018年4月3日、エンタープライズをターゲットにしたマルチクラウド対応ポートフォリオの拡充を発表。その狙いについて同社 技術統括本部 テクニカルビジネス推進本部 本部長の上田昌広氏はこう説明した。
言うまでもなく、企業システムのパブリッククラウドへの移行が加速している。複数のパブリッククラウドを用途に応じて使い分ける企業も増えており、これに自社データセンターを加えたマルチクラウドが、新たなスタンダードとなりつつある。
ただ、IT管理者にとって、マルチクラウド対応はチャレンジでもある。オンプレミスだけだった時代と比べると、システムの複雑さが増大するからだ。
「複雑であることの最大のビジネスリスクは、時間がかかり過ぎること。新しいサービスをどんどん展開できるアジリティ(俊敏性)が求められているなか、手動でオペレーションしていては、エンドユーザーの要求に応えられない」(上田氏)
また、様々なクラウドにアプリケーションやデータが分散することによって、セキュリティレベルが下がることも許されない。
そこで今回、ジュニパーが打ち出したのが「Secure & Automated Multicloud」というビジョンだ。「マルチクラウドの複雑さをシンプルにするのが我々の仕事」と上田氏は話した。
Secure & Automated Multecloudの全体イメージ
Contrailでマルチクラウドを一括管理具体的には、2つの側面からマルチクラウド対応の強化を行った。
まずはデータセンター側である。同社のオーバーレイ型SDNソリューション「Contrail」で、AWSやAzureなどのパブリッククラウドまで一括管理できるようになる。
Contrailでマルチクラウドのオーケストレーションが可能に
「Contrailは今までデータセンターの中のSDNコントローラとして、OpenStackやVMwareといった仮想基盤のネットワークの自動化を提供してきた。そこに昨年末、Contrail Securityも加わり、ポリシーを簡単に一括適用できるようにもなった。さらに今回、1つのデータセンターの中だけではなく、別のデータセンターやパブリッククラウドも全部ひっくるめて、Contrailでコネクティビティの提供やポリシーの適用ができるようにする」(上田氏)