IDC Japanは2017年8月3日、「働き方改革」に関する調査結果を発表した。
国内企業など629名を対象に行われた同調査では、多くの企業が働き方改革の初期段階である「管理の強化」のフェーズにいることが分かったという。
IDC Japanでは、働き方改革を「管理の強化」、「効率性と生産性向上」、「人材活用と事業拡大」の3段階で捉えており、「管理の強化」は第1段階。「就業規則や制度の見直し」「勤怠管理の強化」により、長時間労働の抑止に取り組むフェーズだ。
図表 働き方改革の段階とIT活用(出典:IDC Japan)
第2段階である「効率性と生産性向上」のフェーズにある先進的な企業はITを活用したコミュニケーションの活性化に取り組んでいるが、働き方改革と関連したIT利用について、関心が高かったのはビジネスチャット、社内SNS、スマートフォン向けビジネスアプリ、タレントマネジメント導入だったという。生産性向上のために自動化したい業務としては、「勤怠管理」と「経費と交通費精算」が挙がった。
また、働き方改革の推進者は、経営者が42.4%と最も高く、以下、人事部長(24.5%)、経営企画(20.3%)と続いている。
IDC Japan シニアマーケットアナリストのもたい洋子氏は、「国内企業の働き方改革は、多くの企業が労務管理の強化段階にあるが、先進的な企業では社員間のシナジーを生むコミュニケーションの高度化で生産性を向上し、継続的な事業拡大を担う人材活用に向けて動き出している。国内企業は人事領域におけるICT活用で、これまで培ってきた組織対応の強さに加え、個々の従業員の個性や専門性を事業に生かすべきである。ICTを働き方改革に活用することで、取り組みの可視化、効果測定、新規プロジェクトへの最適な人材配置の実現を早期化する。今後の働き方改革の成熟度に合わせ、コグニティブ/AIシステムを軸にした国内のHR Techが活性化する」とコメントしている。