米IDCによれば、SD-WANの市場規模は2020年にグローバルで60億ドルに達する見込みだ。2015年の2.2億ドルから、年平均成長率90%で急激に伸びると予測されている。
日本企業の関心も高い。10月に「SD-WANに関する企業ニーズ調査」の結果を発表したIDC Japan・コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏は「想定よりもすごく関心が高かった。『大きなメリットがある』と回答した企業は約半分。他のWAN関連の調査と比べても非常に高い」と話す(図表1)。
図表1 ユーザー企業のSD-WANへの期待 |
出典:IDC Japan「国内SD-WAN企業ニーズ調査」 |
SD-WANは、企業の拠点間網にSDN技術を適用し、冗長化されたWAN回線をアプリケーションごとに使い分けられるようにするものだ。ユーザー自身がSDNコントローラから拠点間のWANを集中管理できることも大きなメリットである。
様々なタイプのIP/MPLS網、インターネット回線をアンダーレイネットワークとして組み合わせ、「その上で用途に応じてオーバーレイネットワークを柔軟に使えるようにするSD-WANのコンセプトは、今後の企業ネットワーク構築法の軸になっていく」と話すのは、ガートナージャパンのリサーチ部門ネットワーク担当リサーチディレクターを務める池田武史氏だ。
「SD-WANを単なるWANの最適化の手法とだけ捉えずに、SDNも組み合わせた新しいネットワークのあり方につながるテクノロジーと捉えることが重要。2017年には、当たり前に検討すべきものになる」