「Infobloxのビジネスは長い間、毎年堅調に伸びている」――。Infoblox プレジデント&CEOのイェスパー・アンダーセン氏は、同社の順調さをアピールする。
Infoblox プレジデント&CEOのイェスパー・アンダーセン氏 |
Infobloxのビジネスは継続的に伸長中。世界のDDI市場で約50%のシェアを占めている |
しかし、日本市場でのビジネスを見ると、「残念ながら日本はそのような推移になっていない」。Infoblox 営業部長の田邊道太氏はこう明らかにした上で、「海外ビジネスが好調である要因の1つは、セキュリティモジュールが売れていること。また、金融セクターがすごい勢いで伸びていることも挙げられる」と述べる。
実際に海外では、世界でトップ10の銀行のうち8行がInfobloxのソリューションを導入しているという。
金融と言えば、日本は大きなマーケットだ。そうであれば、日本でも金融向けのビジネスに力を入れるべきだろう。このような状況を背景に、Infobloxは新たに設けた金融専任のポストに田邊氏をアサインし、日本の金融機関向けのビジネス強化に乗り出した。
国内金融の課題はDNSを狙うDDoS/情報漏洩とオペミス田邊氏が、国内の金融機関が取り組むべき課題として挙げたのは、「サイバーセキュリティ対策」と「システム障害の防止」だ。
Infoblox 営業部長の田邊道太氏 |
まず、「サイバーセキュリティ対策」は、①DNSを狙ったDDoS攻撃対策と②DNSプロトコルの悪用による情報漏洩対策の2つが必要になるという。
表の上段が①DNSを狙ったDDoS攻撃対策、下段が②DNSプロトコルの悪用による情報漏洩対策 |
ある調査結果によれば、「既知のマルウェアの91%が、DNSを悪用してサイバー攻撃を仕掛けてきた。それにも関わらず、68%の企業がDNSの監視をおろそかにしている」(田邊氏)。この数字は国内の金融機関に特化したものではない。しかし、金融機関のシステムに関わるDNSがDDoS攻撃でダウンしてしまうと、顧客にサービスを提供できなくなる。Webサーバだけでなく、①DNSのDDoS攻撃対策にも力を入れる必要があるのだ。
また、②情報漏洩対策については、「DNSプロトコルの悪用によるデータ漏洩リスクは高まっているものの、そのリスクは次世代ファイアウォールでは防ぎきれない」と田邊氏。情報漏洩は重大な被害を及ぼすことから、金融機関にとって非常に重要な対策だ。
これらの「サイバーセキュリティ対策」に対して、「システム障害の防止」は、いわゆるオペミスによる障害からシステムを守るために可能な限り運用を自動化してしまおうというもの。「システム障害の原因の多くは人為的なミス。金融監査マニュアルでも可能な限りオペレーションを自動化するようにとガイドラインが出ている。世界ではどんどん自動化が進んでいるが、日本はまだ手作業でやっているという現実がある。ここは大きく改善の余地がある」(田邊氏)
金融機関を含む企業のシステムトラブルは、2009年は月平均1.5件だったが、2015年は同3.5件に急増 |
フィンテックや事業再編によるシステム統合などで、金融機関のシステムは変革している。そうした中、Infobloxは同社の製品・サービスを通じて、インフラのセキュリティ対策や耐障害性に貢献していきたいという。「今後3年で、金融機関向けビジネスを2倍に成長させたい」と田邊氏は抱負を語った。