NTTは今年2月、NTTグループの次世代ネットワークの開発コンセプトとなる「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」を発表した。
構想のベースになるのが、通信事業者のネットワークで使われている高性能な専用機器の機能を分解・素材化し、自由に組み合わせることで、必要な機能や容量を経済的に提供できるようにするという考え方だ。これに基づいて、多様なサービスを迅速かつ高信頼、低コストで提供できる次世代ネットワークを実現する。
図表1 NetroSphere構想のコンセプト |
B2B2Xへの転換を可能にではなぜ、NTTは今この構想を打ち出したのか――。NetroSphere構想の実現に向けた技術開発に取り組んでいるNTT ネットワークサービスシステム研究所 所長の伊東匡氏は、「電話の流れをくむ計画経済型の現在のネットワークを、通信事業者のネットワークを利用して事業を行うサービス提供事業者にとって使いやすいものに変えていくため」と説明する。
光回線販売の低迷などへの対応策としてNTTは事業構造をB2B2X型モデルへ転換する方針を表明しており、その一環として、サービス事業者がNTTネットワークを利用して独自のサービスを展開、NTTが回線や網機能の提供で収益を得るビジネスモデルの実現を目指している。
こうしたビジネスでは、多数の事業者の多様なニーズや予想し難いトラフィックの発生などへの対応が求められるが、従来のネットワークでは十分に対処できない。NTTはNetroSphere構想を通じて、次の時代のビジネスの基盤となる新たなネットワークを作り上げようとしているのだ。