SDN/OpenFlowという“破壊的イノベーション”に、シスコシステムズはどう対処していくのか。
無視、あるいは徹底抗戦? それともシスコもOpenFlowに本格的に対応せざるをえないのか? 同社の動向への関心が高まるなか、遂に米国で2012年6月13日に発表されたのが「Cisco ONE(Open Network Environment)」である。
SDN/OpenFlowに対するシスコの回答をあえて一言にまとめれば「全部やる」――。つまり、シスコはSDN/OpenFlowを排除するのではなく、自社のソリューションポートフォリオに取り込む決断をした。ただし、全面的にOpenFlowへと舵を切ったのかといえば、そうとも言えない。
シスコが打ち出したSDN戦略とは一体どのようなものか。6月29日、日本の報道陣向けにCisco ONEに関する記者説明会が開催された。
米シスコシステムズ データセンター、バーチャリゼーション グローバルマーケティング 戦略担当ディレクターのシャシー・キラン氏(左)と、バイスプレジデント SP チーフアーキテクト兼最高技術責任者(CTO)のデビッド・ワード氏。両氏はテレプレゼンスを介して会見に参加した |
API開放でシスコ製品をプログラマブルに集中制御
同社はCisco ONEの中で、SDNに対して3つのアプローチを提供すると発表している。いずれも2012年第4四半期から具体的なソリューションの提供を開始する。
Cisco ONEで提供されるSDNへの3つのアプローチ。それぞれiPhone、Android、Skypeのモデルにたとえて説明が行われた |
1つめは、シスコ製品で構成されたネットワークをプログラマブルに集中制御できるようにするAPI「onePK(One Platform Kit)」の開放だ。米シスコ バイスプレジデントのデビッド・ワード氏は、「真のSDNの価値は、いろいろな形でネットワークをプログラミングできること」と語ったが、このonePKはSDNが目指す価値をシスコ製品によるシングルベンダーネットワーク上で実現しようというアプローチになる。また、米シスコの戦略担当ディレクターであるシャシー・キラン氏は、onePKをアップルのiPhoneのモデルになぞらえた。
onePKは「Cisco IOS」に加えて、サービスプロバイダー向けの「IOS-XR」、データセンター向けの「NX-OS」と同社のネットワークオペレーティングシステムを幅広くサポート。まずはASR 1000とISR G2が、外部アプリケーションからシスコのネットワーク製品の機能を集中制御できるようになる。すでに国内でも利用実績があり、NICTの2012年さぽっろ雪祭り実証実験でこのonePKが使われたという。
NICTとの共同研究の概要 |