NTTコミュニケーションズ（NTT Com）とTBSテレビは2025年6月12日、5G SAのネットワークスライシングを活用した実証実験に成功したと発表した。
モバイルIP中継機器（モバイル回線を使い映像伝送を行う機器）を利用したテレビ中継において、都市部や観光地などの混雑したエリアでは通信が不安定になることがある。また、電波の届きづらい山間部などでは、通信環境の提供が難しいという課題もある。
同実証では、テレビ中継の際に起こりうる混雑環境や、緊急時において中継設備が十分に準備できない状況を想定し、移動基地局車、Starlink、スライシングを組み合わせることで、安定した通信が提供できることを確認した。
実証構成図
具体的には、疑似的に混雑環境を作り、放送用カメラとモバイルIP中継機器、映像伝送ソフトウェアを利用して動きのある被写体を撮影し、TBS放送センターへ映像伝送を行った。また、同時に撮影現場で送り返しシステム（スタジオと中継現場の間で音声・映像を双方向にやり取りするシステム）による映像の確認、コミュニケーションアプリによるリアルタイムでのやり取りを行えることを確認した。
スループット・映像データ比較
加えて、移動基地局車、Starlink、スライシングを組み合わせた構成では、中継利用で目標とする上り伝送レートを98%で維持し、クリアな映像を送ることができたとしている（スライシングを利用しない場合は30%）。
