古河電工の光ファイバー新体制「Lightera」 その狙いを聞く

テレコムからデータセンターへと成長軸がシフトする光ファイバーケーブル市場。事業体制を一新し、新ブランド「Lightera」を始動した古河電工は、生成AI需要に湧くこの市場をどのように攻略するのか。同社 執行役員 光ソリューション事業部門長の浅尾真史氏に話を聞いた。

古河電気工業 執行役員 光ソリューション事業部門長の浅尾真史氏

古河電気工業 執行役員 光ソリューション事業部門長の浅尾真史氏

――光ファイバーケーブル市場は現在どのような状況ですか。

浅尾 グローバル全体で、2023年から2024年はかなり落ち込みました。 市場在庫の調整に時間がかかり、投資抑制の動きも相まって右肩下がりでしたが、北米だけは回復基調です。今年以降は、北米の需要回復が牽引するかたちで、グルーバル平均で3%程度の成長を見込んでいます。

北米のデータセンター需要に照準

――北米だけが回復基調である理由は。

浅尾 生成AI需要によるデータセンター(DC)市場の成長です。光ファイバーケーブル市場は、約3分の1がDC、3分の2がテレコムです。テレコムのセグメントは短期的には大きな伸びが期待できないでしょう。対して、DCは今後5年、平均20%程度の成長が予測されています。

――新規参入が少ない市場ですが、競争環境は変化していますか。

浅尾 中国製光ファイバーが大量に輸出されています。圧倒的な価格競争力を武器に、特に東南アジアや南米に進出していますが、北米には中国製はほぼ入ってきておらず、北米と日本メーカーの競争が続いています。我々は主力工場が北米にあることもあって、北米テレコム市場の需要減の影響をまともに受けました。DCを軸に回復する市場トレンドを確実に捕捉することが、業績回復の鍵になります。

地域別の売上比率は北米が40%強で、これを2025年以降に50%超へ伸ばすのが目標です。BEAD(Broadband Equity Access and Deployment)による大規模投資や、BABA(BuildAmerica Buy America Act)の動きにしっかりと対応することと、DC向けを中心とした高付加価値製品に注力します(図表1)

※BEAD(Broadband Equity Access and Deployment):米国が2023年6月に発表した「ブロードバンド衡平性・アクセス・配備」プログラム。サービス未提供地域へブロードバンドインフラを展開・導入する各州のプロジェクトに合計424.5億米ドルが配分される

図表1 光ファイバ・ケーブル売上目標(製品構成)

図表1 光ファイバ・ケーブル売上目標(製品構成)

――古河電工の強みは。

浅尾 日本発の技術です。例えば「ローラブルリボン」という独自技術があります。ミカンのネットのように複数本の光ファイバー芯線を点でつなげるこの技術によって、ケーブル内に高密度に収納できるようになります。国内の他メーカーにも同様の技術があり、これが、日本が世界最高水準の高密度ケーブルを提供できる理由です。国内では最大4000心のケーブル(写真)が、北米では今、6912心ケーブルが設置されています。

2024年4月に販売を開始した国内最多となる4000心光ファイバーケーブル

2024年4月に販売を開始した国内最多となる4000心光ファイバーケーブル

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