NTT、NTT西日本、QTnetの3社は2025年6月11日、IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)を活用した分散型データセンター(DC)に関する実証に成功したと発表した。
生成AIの普及等に伴い、AI用DCの需要は大きく増加する見込みだが、脱炭素の観点から、DCを再エネが豊富なエリアへ分散させる動きが加速している。一方、NTT西日本 デジタル革新本部 技術革新部 IOWN推進室の吉田耕陽氏によると、再エネは「全国で年間約19億kWhの出力制御が発生」しており、発電した再エネを十分に活用し切れていない現状があるという。
NTT西日本 デジタル革新本部 技術革新部 IOWN推進室 吉田耕陽氏
そこで3社は、大阪-福岡間のDCをAPNで接続し、再エネの発電量に応じてDC処理を最適化する実証を行った。例えば、福岡は太陽光発電をはじめとする再エネが豊かな地域だが、APNを活用することで、太陽光発電の発電量が多くなる昼間の時間帯に、大阪で行っていたAI推論処理を福岡側へリアルタイムに移行することが可能になるという。
実証内容
また、今回の実証では、NTTネットワークシステム研究所が開発した「再生可能エネルギー考慮型仮想ネットワーク制御」技術をあわせて活用。同技術は、再エネの発電状況や供給状況などを考慮し、各DCに対して最適な処理を動的に振り分ける役割を果たす。処理の分散化は、「30分単位で24時間分を計画できる」(吉田氏)そうだ。