モバイルサービスの普及とモバイルビジネスの展開を推進することを目的に活動するXGモバイル推進フォーラム(XGMF)のブースでは、共同出展社による技術展示とブース講演(プログラムはこちら)を実施している。
目を引くのは商用化間近、あるいは商用化したばかりの5G/ローカル5G製品だ。1つが、マグナ・ワイヤレスのローカル5G基地局と端末「AU-700シリーズ」。高信頼・低遅延通信(URLLC)にフォーカスした装置で、“ジッターレス”が最大の特徴だ。
マグナ・ワイヤレスのAU-700 gNB基地局(左)。そのベースバンド処理部をASIC化した半導体チップ「MC-001」(中央)も展示されている
5Gの標準化機関である3GPPでは、イーサネットの拡張規格であるTSN(Time-Sensitive Networking)と5Gを連携させるための仕様が策定されている。AU-700は、TSNを無線化するこの仕様が求める1マイクロ秒以下のジッター性能を達成。往復遅延も10ミリ秒に抑えている。
2025年4月にリリースしたその実機の展示に加えて、AU-700シリーズのベースと言える5G半導体チップも、同ブースには展示されている。AU-700のベースバンド信号処理部はFPGAで開発しているが、これをASIC化したのが「MC-001」。2026年の量産化を計画しているという。
住友電工はローカル5Gの「ミリ波」端末とDASを展示
ローカル5G関連ではもう1つ、住友電工の屋外対応CPEと分散アンテナシステム(DAS)にも注目だ。どちらも28GHz帯のミリ波に対応している。
住友電工の屋外対応5Gミリ波端末
「屋外対応5Gミリ波端末」(上写真)は、IP66準拠で防塵・防水性能を備えた産業向けモデル。リモートからファームウェアを更新するFOTA、PoEをサポートしている。
また、AI処理機能を追加実装することで、エッジコンピューティングも可能だ。スマートファクトリーにおける異常検出やロボット・AGV操作のほか、交通管理のシーンで人や車の往来監視、危険検出・警報といったユースケースを想定しているという。
世界初の5G NTN接続に成功したシャープ製LEOアンテナも
近い将来の製品化を目指したものとしては、シャープが「LEO衛星通信アンテナ」を展示している。船舶や車両に取り付けることを想定した地上局用アンテナだ。
シャープ製 LEO衛星通信アンテナ
低軌道(LEO)衛星コンステレーションを用いた衛星通信サービスを開発・運用しているOneWebと実証を行い、5G技術を使ったNTN(非地上系ネットワーク)通信の接続に世界で初めて成功。ブースでは、その実証成果をアピールするとともに、商用サービスを想定したデモも披露している。
XGMFブースではこのほか、様々な5G/6G関連の技術展示が行われている。ミリ波を使った高速移動・大容量通信に挑戦したNECの実証、通信電波をセンシングに活用するNTTの6G技術研究など、未来を見据えた取り組みにも注目だ。