オブザーバビリティプラットフォームを提供するNew Relicは2025年5月13日、ユーザー向けイベント「New Relic Now Live: Tokyo」を開催した。
New Relic CTOの松本大樹氏は、同社製品の導入企業がグローバルで8万5000社に達し、業種や規模を問わず拡大していると紹介。日本市場でもシェア46%を占め、トップを走っていると語った。
New Relic CTOの松本大樹氏
イベントでは、New RelicをWebサービスの運用・開発に活用する2社が事例を発表した。
映像配信の品質管理をNew Relicで実現 AbemaTV
幅広いジャンルの番組を無料配信する「ABEMA」を運営するAbemaTVは、視聴デバイスやネットワーク環境の多様化に伴い、モニタリングの不十分さ、機能正常性の定量把握不足、チームごとの障害対応フローのバラつきといった課題に直面した。これに対し、New Relicを中核としたオブザーバビリティ基盤を導入し、サービス品質と障害対応力の向上を進めている。
(左から)AbemaTV Development Headquarters Product Divisionの石川諒氏、橋詰明宗氏
特に注力したのが、SLO(サービスレベル目標)のフロントエンド適用だ。従来、SLOはサーバー側指標が中心だったが、同社はユーザー体感品質を重視し、デバイスごとのSLI(サービスレベル指標)を定義。New Relicで常時監視する体制を構築し、多様な環境下でも安定した品質を確保した。
障害対応では、New RelicとPagerDuty、Slackを連携し、異常発生時にはSlackに専用チャンネルを自動立ち上げ。AbemaTV Development Headquarters Product Divisionの石川諒氏は「コミュニケーションロスが減り、障害対応が効率化した」と述べた。
また、サッカーワールドカップなどの大規模配信に備え、AbemaTVはNew Relicによる機能ごとのSLO監視を徹底。プッシュ通知やSNS拡散によるトラフィック急増を想定し、リアルタイムで負荷状況を把握する体制を構築した。ユーザー体験に直結するSLIも継続的に監視し、多角的な分析でパフォーマンス劣化の兆候を早期に検知。「アラートが上がる前に異常を察知し、迅速な対応につなげられた」と、Development Headquarters Product Divisionの橋詰明宗氏は成果を語った。