AI-RANとは、無線アクセスネットワーク(RAN)の制御・運用にAIを活用することで、その効率性向上や消費電力の削減などを実現するとともに、AIを活用した新ビジネス創出を目指すものだ。
その取り組みは大きく3つある。RANとAIの設備を共通化する「AI and RAN」、その共通設備上でエッジAIアプリを動かして新規サービスを創出する「AI on RAN」、そして、AIによってRANを高性能化する「AI for RAN」である。
ソフトバンクは2023年からエヌビディアと、このコンセプトを推進。2024年2月に、AI-RANの研究開発を加速するため、Amazon Web Services(AWS)、Arm、DeepSig、Ericsson、Microsoft、Nokia、 Northeastern University、Samsung Electronics、T-Mobileを加えて業界団体「AI-RANアライアンス」を設立した(参考記事)。2024年11月には、AI-RANを具現化する製品として「AITRAS」も発表(参考記事)。基地局制御装置であるCU(Central Unit)とDU(Diatributed Unit)を仮想化して、GPUとArm CPUを搭載したNVIDIA GH200上に実装したもので、現在、このAITRASを使ってAI-RANの新技術を開発、様々な実証を行っている。
AI-RANアライアンスの発足から1年、AI-RANはどこまで進化したのか。ソフトバンクは3月3日に開幕した「MWC Barcelona 2025」でこの1年の取り組みを紹介した。先端技術研究所 先端無線統括部 統括部長を務める船吉秀人氏は新規開発の成果として5つのポイントを挙げた。