自然現象や災害を監視したり、人間の活動による地球の変化を観測したりと、様々な用途で活躍する観測衛星。これまでは衛星間および衛星-地上間で電波を使った無線伝送によって観測データをやり取りしていたが、これを「光化」する新たな衛星通信システムの開発を進めているのがJAXAとNECだ。2020年の衛星打ち上げ以降、技術・運用実証を続けてきた光衛星間通信システム「LUCAS(Laser Utilizing Communication System)」である。
JAXAとNECは2025年1月23日、観測画像をLUCAS経由で地上へ伝送することに1月10日に初成功したと発表した。観測衛星と中継衛星間に光通信を使用。中継衛星と地上間は従来どおり電波による伝送を行い、その通信速度は世界最速となる1.8Gbpsを記録したと発表した。
JAXA 第一宇宙技術部門 JDRSチーム プロジェクトマネージャーの山川史郎氏によれば、地球観測データの利用ニーズは拡大しており、「分解能が上がったことで画質が向上し、かつ高頻度になった」ため、衛星-地上間通信の高速大容量化の必要性が増している。LUCASが実用化されれば、大容量の観測画像などを即時利用したいといったニーズに対応しやすくなる。