NTTとTBSテレビは2024年11月20日、映像プロダクションの効率化・高度化に向けて、制作拠点と撮影現場をIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)で接続するリモートプロダクション環境の実現に成功したと発表した。
同取り組みでは、実際の放送局であるTBSの赤坂スタジオ(東京・港区)、スポーツイベントを開催しているスタジアム(埼玉・さいたま市)、3000km離れた台湾の中華電信の3拠点の映像を、東京・蔵前の制作プライベートクラウドを介してAPNで接続。NTT武蔵野研究開発センタ内にコントロールパネルでスイッチング等の映像制作ができる環境を構築し、APNで各撮影場所を接続することで、大規模なフルリモートプロダクションが可能であることを実証した。
映像はTBSのほかにJリーグ(日本プロサッカーリーグ)、スイッチャー等の映像制作装置はソニーマーケティング、映像伝送装置はNTTイノベーティブデバイス、リモートカメラはパナソニック コネクトから提供を受け、クラウドCG制作等のサービスは朋栄のサービスを利用して実験環境を構成した。
APNを活用したリモートプロダクションのイメージ
結果、リモート拠点にある15台分のカメラから、HD品質の非圧縮・大容量映像をリアルタイム伝送し、リモートプロダクションを成功させた。また、3000km離れた拠点間で、リモートカメラコントロールを約30msの伝搬遅延で実現し、従来ネットワークでは難しかった生放送要求レベルの安定的な拠点装置間のPTPロック維持を、ジッタ1μs未満で達成したという。
さらに、TBSの情報番組「ひるおび」と連携して、生放送と同タイミングですべての映像を分岐。加えて、台湾と埼玉スタジアムの3拠点のカメラ映像を、制作プライベートクラウドを介してNTT武蔵野研究開発センタ内の制作拠点と接続し、放送局による実フィールドでのフルリモートプロダクションが可能であることを実証したとしている。