SPECIAL TOPICAIネットワークの新潮流「光スイッチ」 ロスレス実現へ評価・試験環境も刷新

AI/ML(機械学習)基盤で求められる「ロスレス」「低遅延」といった要件はいずれも、従来のデータセンターネットワークにはなかった厳しいものだ。これを満たすには、従来型のアーキテクチャにいつまでも囚われていてはならない。ハイパースケーラーに代表される先端ユーザーの実情に詳しい丸文が、AIデータセンター実現へ新たな提案を始めている。

近い将来のデータセンターネットワークにおいて主流となるであろう技術の1つに「光スイッチ」がある。電気信号に変換せず、光信号のまま経路変更を可能にするものだ。ハイパースケーラーの大規模データセンター、なかでも要件が格段に厳しいAIデータセンターにおいて、この光スイッチの導入が広がっていると丸文 情報通信課 主任の仲間好彦氏は話す。

光スイッチ導入の目的は大容量化や低消費電力化、低遅延化など多岐にわたるが、同氏によれば、そのニーズが高まっている背景には、データセンターにおける2つの新トレンドがあるという。

丸文 情報通信課 主任 仲間好彦氏

丸文 情報通信課 主任 仲間好彦氏

グーグルが先鞭 光スイッチが主流になる理由

1つが、スーパーコンピュータで用いられる高次元接続技術が「AIデータセンターでも主流になりつつある」ことだ。これまで採用されてきた3次元トーラス(ノードを3次元格子状に相互接続する)より格段に拡張性を高めた6Dトーラス構造の採用が進んでいる。「AIデータセンター向けに、グーグルは3Dトーラスで次世代ネットワークを構築中だ。今後、6Dトーラスのアーキテクチャへ進化することは間違いない」と仲間氏。この次世代ネットワークにグーグルが使っているのが、光回路スイッチ(Optical Circuit Switch:OCS)である。

もう1つのトレンドは、ディスアグリゲーテッドコンピューティング。NTTが構築を進めるIOWNのコンセプトにもなっている概念だ。

現在のデータセンターは、CPUやGPU、メモリ等のリソースをパッケージにしたサーバーをつなぎ合わせてできている。これを進化させて、CPU、GPU、メモリ、ストレージそれぞれのリソースプールを作り、必要に応じてそれらを組み合わせて使おうというのがディスアグリゲーテッドコンピューティングの考え方だ。処理能力やリソース利用効率の大幅な向上が期待されることから、これも今後主流のアーキテクチャになると予想されている。

ここで各リソースプールをつなぎ合わせるのが、非常に高性能かつ低遅延な「光のファブリックだ。その経路切替には光スイッチが必要とされる」(仲間氏)。

このように、AIデータセンターの中核をなすアーキテクチャに、光スイッチがマッチするというわけだ。

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