日本アルカテル・ルーセントは2011年10月19日、同社のIP事業に関するメディア説明会を開催した。アルカテル・ルーセント本社 IP事業部プレジデント兼ネットワークス・グループ、ポートフォリオ・ストラテジー統括責任者のバジル・アルワン氏が、通信事業者向けのサービスルーター製品と、国内外での導入事例などを紹介した。
アルカテル・ルーセント IP事業部プレジデント兼ネットワークス・グループ、ポートフォリオ・ストラテジー統括責任者のバジル・アルワン氏 |
アルワン氏は、IP/MPLSエッジ向け製品の市場においてここ数年、アルカテル・ルーセントがシェアを伸ばしてきた実績を複数の調査会社のデータを引用しながら紹介。「当社が、シスコシステムズとジュニパーネットワークスのシェアを奪ってこれたのはなぜか。通信キャリアの抱える課題を解決するソリューションを提供できたことはもちろん、通信キャリアが必要とするあらゆる分野の製品を開発し、製品ポートフォリオを広げてきた」ことがその要因と説明した。
2011年第2四半期におけるマーケットシェアの変化(クリックして拡大) |
なかでも通信キャリアにとって喫緊の課題と言えるのが、スマートフォンやタブレット端末、ビデオアプリケーションの普及を背景とする「トラフィック爆発」への対処だ。トラフィックの爆発的増加に対応しながら、いかにコストを効率化するのか。これに貢献するため、モバイルバックホールの分野において、同社の「Alcatel-Lucent 7750 Service Router(SR:サービスルーター)」や「7210 Service Access Switch(SAS:サービスアクセススイッチ)等によるモバイルバックホールソリューションの提供を進めている。
特徴的なのは、ネットワークプロセッサ「FP3」だ。400GBのパフォーマンスを可能にするその性能に加え、「プログラミングが可能」(アルワン氏)なため、ソフトウェアの変更だけで、多様なサービスに対応できる柔軟なネットワークの構築が可能になるという。通信キャリアは提供するサービス毎に複数のネットワークを運用し、それがコスト増を引き起こす要因となっているが、「ネットワークを1つにまとめて効率的な構成とすることで、投資額はもちろん、OPEXも削減できる」とアルワン氏は話した。
国内外の通信キャリアにおいて採用実績が増加。国内では、WCPが「7750 SR」等によるモバイルバックホールソリューションの採用を決めた(クリックして拡大) |
今後は、LTEの導入を見据えて国内外のキャリアにおいてネットワークの再構築が進むが、アルカテル・ルーセントはこの機を捉えて、固定・移動の統合ネットワークの構築が可能になる同社のソリューションの提案を進めていく方針という。説明会の最後では、海外での導入実績と合わせて、国内での事例も紹介された。TD-LTEと100%互換の「AXGP」インフラを展開するWireless City Planning(WCP)が、そのモバイルバックホールに7750 SRおよび7210 SASを採用している。