無線通信用測定器の世界的リーダーであるローデ・シュワルツは、今年の「ワイヤレスジャパン×WTP 2024」でも最新鋭の機器を紹介している。
ブース正面で来場者を迎えているのがワンボックスシグナリングテスタ「R&S CMX500」だ。5G NRのシミュレーションが行えるほか、5G NTN(Non-Terrestrial Network)にも対応する。5G NTNは低軌道衛星、静止衛星、HAPSと携帯端末が直接5G通信を行うための規格として3GPPで策定されたものだが、これを運用するために不可欠な測定ソリューションであるため、同社セミナーには多くの聴講者が集まったという。業界からの注目は大きい。
5G NTNに対応した「R&S CMX500」
6G時代は通信電波でセンシング
また、6Gを見据えたISAC(Integrated Sensing and Communication)ソリューションも目を引く。これは6Gの要件に基づき、通信電波を用いてセンシングを行うものだ。いわば“無線とセンサーの一体化”。
ISACソリューションの一部である車載用レーダーエコー発生器「R&S AREG800A」
展示されたソリューションでは、車載器を想定したシミュレーションを実施できる。対向車との距離やドップラー速度を設定し、設定した遅延で結果を返してくれる。具体的には、自動車が動物などを察知し、衝突を回避するためのセンサー開発などに用いることができるという。MWC 2024にも出展したこの機器を利用し、NTTドコモや韓国・SKテレコムらとの実証実験が行われている(参考記事:ドコモとNTT、6G実現に向け新たにSKテレコム、ローデ&シュワルツと実証実験の協力に合意|BUSINESS NETWORK)
このほか、業界唯一のBluetooth LE Audioのシグナリング試験装置や、OTA測定とConducted測定の双方に対応したWi-Fiテスタを展示。Wi-FiテスタはWi-Fi 7に対応し、機器をシールドボックスに収めることができる。コンパクトさと機能性を両立したソリューションだ。
上部左側の筐体がWi-Fiテスタ本体「R&S CMX500」、下部がシールドボックス「R&S CMQ200」
そしてオシロスコープやネットワークアナライザなどの基本測定器も展示している。ユーザビリティを考慮し、いずれの機種も表現力豊富な大型ディスプレイを装備しているが、「機器の小型化にも注力している」(マーケティング担当の井部環奈氏)という。