JCBとITコンサルティングを手掛けるイマーゴは2024年5月16日、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)とBLE(Bluetooth Low Energy)を用いて新たな購買体験を実現する「近づいてチェック」プロジェクトを開始したと発表した。
キャッシュレス決済の多様化、各種ポイントサービスの増加、会員証アプリやデジタルクーポンの普及、企業の環境対策などの様々な理由により、店舗レジでの決済時に客の選択と意思表示が必要なタスクが増加しており、購買体験は煩雑化している。口頭確認を行う際の聞き間違い、伝え間違いによるトラブルも発生しており、客と店員の双方にとってストレスの原因となっている。
同プロジェクトでは、客のスマートフォンとレジ端末がUWB/BLEで通信することによりレジでの口頭確認を不要にし、購買体験のワンストップ化を目指す。
具体的には、支払い方法やポイントカードの有無、酒類やたばこ購入時の年齢確認、レジ袋の有無など、店頭で確認される内容について、スマートフォンのアプリに「チェック項目」として事前登録する。
店頭ではスマートフォンのアプリと店舗のレジ端末がUWB/BLEを用いて通信し、アプリ上で設定された情報を自動的にレジ端末へ送信する。このとき、客はスマートフォンを操作する必要はない。レジ端末の店員側の画面には客が設定したチェック項目が表示されるため、客と店員が口頭確認せずにスムーズに買い物ができるようになるという。レジ端末の客向け画面はタッチパネルになっており、事前に設定したチェック項目をその場で変更することも可能とのことだ。
スマートフォンとレジ端末の通信イメージ
こうした仕組みにより、確認事項のワンストップ化によるレジ回転率の向上や、店頭トラブル・クレームの抑制、日本語が不得手な外国人店員の支援が可能になるという。また、入店時や店内での導線や決済時を活用した新たなデジタルCRMが拡大する可能性もあるとしている。
同プロジェクトの調査等には和洋九段女子中学校高校(東京都千代田区)などが協力している
両社はこのプロジェクトのプロトタイプを活用し、実際にUWB/BLEを用いて動くiPhoneおよびApple Watch向けアプリと、店舗レジ機材のリファレンスモデルを制作し、ユーザーテストを開始した。今後実店舗での実証実験やユーザー調査などを通じ、早期の商用化と社会実装を目指していくという。