日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2011年5月19日、プライベートクラウドを短期間で構築できるパッケージソリューション「HP CloudStart」を発表した。ワンボックス型ハードウェアの「HP BladeSystem Matrix」を基盤に、プライベートクラウド環境に必要な管理ツールと構築サービスなどすべてをパッケージ化して提供する。
プライベートクラウドを短期に構築できる「HP CloudStart」 |
CloudStartの特徴として強調されたのは、まず「俊敏性」だ。ハードウェア到着後約30日で構築できるというが、これにはHPの豊富なクラウド構築実績をベースに作られたリファレンスアーキテクチャーが大きく寄与しているという。このアーキテクチャーはクラウドの設計・構築・管理・運用のためのテンプレートとなるもので、「クラウドの要件を満たしたテンプレートとお客様ごとの要望を付き合わせることで、クラウドを俊敏に立ち上げることができる」と同社テクノロジーコンサルティング統括本部テクノロジーソリューション本部インフラストラクチャソリューション部長の榎本司氏は説明した。HPは全世界85箇所に分散していた自社のデータセンターを6つに統合した経験などを持つ。
CloudStartの主な特徴 |
また、オプションとして、アプリケーションの運用管理を効率化する「CSA for Matrix」と、クラウド環境に最適化されたネットワークを提供するという「CloudStart Network」も用意する。CloudStart Networkは、同社のデータセンター向け10GbEスイッチ「HP A5820」を利用したネットワークパッケージで、いわゆるデータセンターファブリックを実現するもの。複数の物理スイッチを仮想的に1台のスイッチとして動作させることができ、ネットワーク設計や配線のシンプルにできると同時に、高い可用性と拡張性、広帯域を確保できる。なお、A5820はHPが買収した旧H3C社の製品だ。このほか、課金のためのビリングマネージャーが標準パッケージの中に含まれているのも特徴と言える。
オプション提供の「CloudStart Network」の特徴 |
会見では、クラウドビジネスをさらに拡大するため、「クラウド事業本部」を5月に発足させたことも明らかにされた。その狙いについて、同社執行役員テクノロジーコンサルティング統括本部長の有安健二氏は「HPは長年クラウドビジネスをやってきたが、さらに大きくしていくには、HPの総合力を提案する強力なチームが必要と考えた。3年で5倍くらいにクラウドビジネスを拡大させたい」と語った。
また、今回の大震災を受けて「クラウド化が加速的に進んでいく」との見方も示し、日本企業の支援という意味でも「クラウド事業にもっともっと力を入れていく」とした。クラウド事業本部の当初の陣容は数十名で、「今後、ビジネスの増大に応じて増やしていく」という。
クラウド事業本部の組織体制 |