アルチザネットワークスは、携帯電話事業者向けのテスト機器などを手がける日本の企業だ。同社は、その技術を生かし、パケットキャプチャシステムを製品化している。障害が発生した拠点に持ち運んで使えるポータブルタイプの製品もラインナップに持つが、主力は、最大100Gbpsのキャプチャ保証値を持つラックマウント型製品「etherExtractor NEOシリーズ」だ(下写真)。
アルチザネットワークスのetherExtractor NEOシリーズ。筐体は4モデルで共通で1Uサイズ。最上位モデルのNEO Proは最大100Gbpsのキャプチャ性能を持つ
同シリーズは、4Gbpsから100Gbpsまでの4モデル(図表)があり、それぞれに容量などのバリエーションがある。
図表 NEOシリーズ4機種の仕様表
基本的にはキャプチャ性能でNEO Lite(4Gbps)、NEO Lite 20G(20Gbps)、NEO Basic(50Gbps)、NEO Pro(100Gbps)の4モデルだが、キャプチャ性能に応じてイーサネットインターフェースとトランシーバータイプが異なる。10Gbps以上のイーサネットは、複数の伝送仕様(LR/SR、LR4/SR4など)に対応し、ポートも複数のトランシーバータイプ(SFP+~QSFP28など)に対応している。最も高速な100GbpsイーサネットもNEO Proで2ポートを持つ。
大容量トラフィックも漏らさない パケットキャプチャ性能を保証
他社と比較したときの特長の1つが、パケットキャプチャ性能を保証値としている点だ。
持続時間やプロトコルなどの前提条件がなく、パケットキャプチャの性能を絶対値で保証しており、大量のパケットが流れるネットワークであっても、保証値以下であれば、パケットの完全キャプチャが可能だ。秒間統計では発見できない瞬間的なバーストトラフィック、スパイクトラフィックである「マイクロバースト」をしきい値に基づいて検出することが可能になっている。
同社は、以前よりetherExtractorシリーズを製品化しており、国内通信事業者、データセンターや金融機関での採用実績がある。NEOシリーズは、前世代のetherExtractorと比較して、ストレージにSSDを採用することで可観測性や高速性を向上、低レイテンシーを実現した。また、SSDの採用により筐体のコンパクト化も達成し、1Uサイズを実現している。消費電力も下がり、発熱も抑えることが可能になったため信頼性も向上している。
パケットキャプチャシステムで、キャプチャ性能を保証値とするためには、入力イーサネットインターフェースの性能だけでなく、「キャプチャパケットデータの書き込み性能が重要になる」とアルチザネットワークス 開発統括本部 第2開発部 部長の門田隆之氏は話す。
アルチザネットワークス 開発統括本部 第2開発部 部長 門田隆之氏
このため、etherExtractor NEOでは、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)技術を使う。
RAIDはストレージの耐故障性を向上させるものとして使われることも多いが、複数ドライブを並列にアクセスすることでアクセス速度向上のためにも利用できる。etherExtractor NEOでは、RAID 5(パリティ分散記録)または、RAID 10(ミラーセットのストライピング)を使う。門田部長によれば、高速化のため、自社でチューニングしたRAIDソフトウェアを使用して、最大限のパフォーマンスとエンデュランス性能を引き出しているとのことだ。