SPECIAL TOPIC高度なAIエッジ処理をシンプルに実現! MWCで語られた「AI-on-5G」がもたらす価値

デジタルテクノロジーを用いてビジネスや社会を変革するDXにおいて、5Gが果たすべき役割は極めて大きい。この5GにAIを組み合わせ、ネットワークエッジで低遅延かつ高度な処理を実現するため、エヌビディアが提唱するのが「AI-on-5G」だ。MWC Barcelona 2021でも語られたこのコンセプトの詳細について、エヌビディアに聞いた。

AI処理のためのコンポーネントをフルスタックで提供エヌビディアは、汎用的な処理にGPUを使うためのプラットフォームである「CUDA」のほか、CUDAを使って深層学習や機械学習を行う「cuDNN」や「cuML」、推論を高速化する「TensorRT」といったライブラリ、あるいは対話型AIプラットフォームである「Riva」やAIを用いたレコメンデーションを実現する「Merlin」、サイバーセキュリティの領域でAIを活用するための「Morpheus」といったフレームワークなど、GPUを使うためのソフトウェアを幅広く提供している。このようにエヌビディアの実績をヴェラユサム氏は説明しつつ、「AI-on-5Gの要素の1つである、エッジでAIを展開するためのコンポーネントをエヌビディアはフルスタックで提供しており、これは我々の大きなアドバンテージであると考えています」と述べた。

さらにエヌビディアには、GPUを活用して5Gの基地局機能を実現する「Aerial」と呼ばれるSDKがある。「このAerialを活用することで、5Gの基地局機能とAIの機能を同じハードウェア上でSoftware-Definedに実現することが可能になります」。5Gの基地局でAIの機能を汎用的なハードウェアで統合することが可能になれば、CAPEX/OPEXの削減が可能になるほか、社会的に大きな関心事となっている消費電力の削減も果たせるなど、多くのメリットがもたらされるだろう。

エヌビディア

エヌビディアであれば、AIをエッジで処理するために必要なハードウェア・ソフトウェア双方のコンポーネントと、5G基地局機能を提供するAerialをワンストップで提供できる

そのハードウェアとして用いられる、GPUサーバーのインフラストラクチャが「NVIDIA EGX エンタープライズ プラットフォーム」であり、その認証を受けた製品はさまざまなOEMベンダーが提供している。ちなみに、Aerialを利用していない、AIのためのエッジサーバーとしては、アメリカの大手流通企業や日本の通信キャリアなど、すでにさまざまな企業がNVIDIA EGXを導入済みである。

Aerialを組み込んだNVIDIA EGXのトライアルもすでに進められている。

「我々のAI-on-5Gのビジョンに共感していただいたベンダーと連携し、AerialとAIの機能を組み込んだ5G基地局の実現に向けた検証を進めています。これにより、AI-on-5Gが完璧に具現化された形で、Aerialを含むNVIDIA EGXが2021年後半から2022年前半にかけてリリースされると考えています」

将来的には1チップでAI-on-5Gを実現エヌビディアはGoogleと連携し、ハイブリッドクラウドおよびオンプレミス環境のシステムを統合管理するためのプラットフォームである「Anthos」の基盤上で、エヌビディアのAI-on-5Gを実現するインスタンスを提供する取り組みも進めている。Anthosはコンテナ技術をベースとした、マルチクラウド環境やオンプレミスでも使えるアプリケーション実行環境であり、さらにGoogleとエヌビディアのコラボレーションにより、Anthos上でエヌビディアのGPUを使った処理を実行できる。これを利用すれば、ユーザー企業にとって最適なエッジ上でAI-on-5Gのインスタンスを利用しつつ、Anthosが備えるアプリケーション実行環境としての機能を利用することで運用負荷を軽減するといったことが可能になる。エッジコンピューティングの実現を考えたとき、そこで利用するサーバーの配置や構築、運用をどうするかは大きな課題となるだけに、Anthosと組み合わせることで柔軟なインフラ構築が可能になることのメリットは大きいだろう。

最後にヴェラユサム氏は、AI-on-5Gのロードマップにも言及した。

「まず提供するのはNVIDIA EGXサーバーにAerialを組み合わせたソリューションですが、その後AerialとAIライブラリを実行できる単一の基板(カード)である「BlueField-3 DPU」の提供を予定しています。これにはGPUに加えてArmベースのCPUを搭載しており、このカードで5Gの基地局とAIにかかわる処理を完結できます。さらにその先には、同様の機能を1チップで実現する「BlueField-4 DPU」も予定しています。このように、エヌビディアのAI-on-5Gのプラットフォームは今後も進化し続けます」

膨大なデータをAIでリアルタイムに処理して判断や制御を自動化するといった仕組みを考えるとき、遅延を最小限に抑えられる5Gとエッジコンピューティングの組み合わせは有効なソリューションとなり得る。さらにそれらで求められるリソースを1つのハードウェアに統合することができれば、物理スペースの有効利用が可能になるだけでなく、CAPEXやOPEXを抑えた形でエッジコンピューティングを実現できる。このAI-on-5Gの実現に向けたエヌビディアの取り組みに、これから大いに注目したい。

<お問い合わせ先>
エヌビディア合同会社
エンタープライズマーケティング本部
E-Mail:nvj-inquiry@nvidia.com

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