「やはり今はクラウドの時代」――秋田テレビがKDDIのクラウドで掴んだ手応え

秋田テレビは開局45周年記念のキャンペーンサイトをクラウドで構築した。数あるクラウドの中から選んだのは「KDDI クラウドプラットフォームサービス(KCPS)」だ。同社にとって、これはクラウド活用の第一歩。さらに今後、KDDIのネットワークサービスと連携した閉域網内でのクラウド活用なども見据えている。

クラウドこそが最良の選択肢

ぽちぱパークではホスティングではなくクラウドを採用したが、その大きな理由の1つは、ホスティングで運営しているWebサイトで、アクセス集中によるサービス断がたびたび発生していたためだ。

テレビの影響力は非常に大きい。番組の内容などに応じて、Webサイトへのアクセスが急激に増加する。このため、システムリソースを柔軟に増減できないホスティングサービスでは、無理が生じていたのである。

また、システムの構築期間が限られていたこともあった。ぽちぱパークの企画骨子が固まったのは2014年3月。番組表を決める編成部からは、「できるだけ早くサービスインしたい」という要望が来ていたが、クラウドなら必要なシステムリソースを迅速に調達できる。

さらに、45周年記念企画であるぽちぱパークは、期間限定のWebサイトだ。クラウドなら利用する期間だけの費用だけで済むなど、クラウドこそが最良の選択肢だったのである。「やはり今はクラウドの時代です。すでに系列会社でクラウドを利用していたので、クラウドに対する懸念もありませんでした」と佐藤氏は語る。

KDDIのKCPSを選んだ理由とは?

クラウドで行くことを決めた秋田テレビは、次にクラウドサービスの選定作業に入る。

秋田テレビに必要だったのは、サーバーなどのITインフラをクラウドで提供するIaaS(Infrastructure as a Service)だが、このIaaSに限っても選択肢は数多い。佐藤氏も様々なIaaSを比較検討したそうだが、その中からKDDIのKCPSを選んだ理由は何だったのだろうか。

まずはサポート面などをはじめとする信頼感だという。「KDDIの営業担当者が、いろいろと相談できる方だったことは非常に大きかったです」

サービス自体の信頼性の高さも採用の大きなポイントになった。KCPSを構成している設備はKDDIのデータセンター内で完全冗長化され、キャリアのネットワークに直結していることで高い耐障害性を実現している。セルフポータルで必要な時に必要な分だけ簡単にリソースを増減可能な柔軟性・迅速性を備えている点も、アクセスの変動が予想しづらい期間限定のWebサイト向けに最適だと判断した。

また、秋田テレビは拠点間ネットワークに「KDDI Wide Area Virtual Switch(WVS)」を採用している。現在のところ同社はKCPSとWVSを接続していないが、将来的にKCPSを閉域網で使えることにも魅力を感じた。

秋田テレビのネットワーク概要図
秋田テレビのネットワーク概要図

Webサイトオープンまでに佐藤氏に与えられたのは約2カ月という短い期間であったが、KCPSの柔軟性・迅速性もその難しい課題をクリアする一翼を担い、6月に無事Webサイトオープンにこぎつけることができた。

なお、佐藤氏が高く評価しているWVSの特徴の1つに「宅内ルータレス機能」がある。これは、WVS側でルーティングやアクセス制御などの機能を提供し、宅内ルータを不要にする機能。「これにより、拠点間接続に使っていたルータの保守料や買替コストがまったく要らなくなりました」

WVSのネットワーク品質にも満足しているという。「以前使っていたサービスでは、多くの営業マンが帰社して社内業務を行う夕方4時~6時ごろに、通信の揺らぎなどが発生していました。しかし、WVSは品質も安定しています」

次のステップは自社Webサイトのクラウド移行

昨年6月にぽちぱパークのWebサイトがオープンしてから半年以上が経過――。佐藤氏は「非常にパフォーマンスがいい」とクラウドへの手応えを語るが、もともと秋田テレビにとって今回の試みは、クラウド活用のファーストステップという意味合いがあった。まずは期間限定のWebサイトで試し、その後の本格活用につなげていくという戦略だ。

次のステップとして考えているのは、サービス断の課題が生じている自社WebサイトのKCPSへの移行である。

また、前述の通り、KCPSとWVSの連携も検討している。「WVSの網内でクローズドに運用できるのは、KCPSの強みの1つ。例えば当社はActive Directoryで社内ネットワークのログイン認証を行っていますが、被災時に備え、セカンダリの認証サーバーをKCPSに置くなどの使い方ができると考えています」

現在、多くの業界が変革期の最中にあるが、放送業界も例外ではない。インターネットやモバイルの普及、4K・8K時代の到来などへの対応を迫られている。「こうした変化に対して、技術マンとして貢献できる知識と能力は身に付けておきたい」と佐藤氏は話すが、そのための武器の1つとして、クラウドは今後さらに活躍していくにちがいない。

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