Wi-Fi 6E製品がほぼ完売 ソフトやサービス開発にも注力ネットギアでは2021年、Wi-Fi 6の拡張規格「Wi-Fi 6E」に対応したOrbiクアッドバンドルーター「RBK9シリーズ」を、米国市場に投入した。
Wi-Fi 6Eは、新たに解放された6GHz帯を利用できるWi-Fiの規格。無線通信は利用できる帯域幅が広いほど高速に通信できるが、「すでにWi-Fiが利用している2.4GHz帯も5GHz帯も混み合っているため、新しい帯域の開放はWi-Fiにとって非常に追い風になります」と杉田氏は期待する。
ネットギアジャパン 代表 杉田哲也氏
海外で先行して解禁されていたWi-Fi 6Eだが日本でも4月、総務省から技術的条件の審議結果が公表され、500MHzもの帯域幅を追加利用が可能になることが判明した。制度解禁時期は未定だが2022年度中にも利用できると予測されている。
RBK9シリーズの1つ、「RBKE960」は親機と2台のサテライトがセットになっており、3台で9000平方フィート(約836㎡)のエリアカバー、クアッドバンドで16のWi-Fiストリーム、10GのWANポート、クアッドバンド合計で10.8Gbps(4804+2402+2402+1147)を実現する高品質ルーターとなっている。なお、サテライトは増設可能で4台だと1万2000平方フィート(約1114㎡)のカバーが可能だ。価格は1499ドル(記事執筆時、約19万5000円)だが、「米国ではほぼ完売している状況です」と杉田氏は胸を張る。
米国で販売しているWi-Fi 6Eに対応した「RBKE960」の外観。ほとんど売り切れているという。日本でも制度解禁後、展開予定だ
Wi-Fi 6E人気の背景にあるのが、「コロナ禍で生活のスタイルが変わったこと」と杉田氏は分析する。欧米では日本に先駆けてテレワークが導入され、学校もオンライン授業に切り替わった。そこで家庭でもより高品質なWi-Fi環境が求められるようになった。企業においても、IoTやAR/VR、高精細画像、ロボット活用などで高速大容量、多数接続、低遅延などが求められており、そうした需要にWi-Fi 6Eが応えている。
日本でもテレワークが普及、使用するデバイス数の増加など、家庭でのネットワーク環境に課題を感じている人が増えている。同社では日本でもWi-Fi 6Eが解禁されたらすぐにRBK9シリーズを市場に投入できるよう、現在準備を進めているという。
同社は2021年、創業25周年を機に研究開発部門を新設し、ソフトウェアとサービスの開発にも力を入れている。例えば、ネットギアユーザーは「NETGEAR Insightアプリ&クラウド」というサブスクリプションサービスにより、簡単にネットワークの管理ができるようになる。複数の拠点、デバイスを単一画面でどこからでもモニタリングができるようになる、といった基本的な機能だけではない。機器の初期セットアップやファームウェアアップデートも同アプリから可能で、エンジニアが在宅勤務しながらネットワークやデバイスを監視できるようになる。
さらにオプションサービス「Insight Business VPN」を利用すれば、自宅と会社のVPN接続が1クリックでできるという。設定は必要だが、他社のネットワーク製品も管理できる。また、同社の法人向けラインナップはSSIDへのVLAN割り当てや有線/無線のネットワークセグメンテーション、WPA3による暗号化対応などビジネス向けの機能が標準で実装されている。
ネットギアでは現在、Wi-Fi 7やWi-Fi 8への進化に向けて、さらに制御できるバンドを増やす方向で開発を進めている。「iPhoneは次の世代でWi-Fi 6Eをサポートすると言われています。それをきっかけに、日本でもWi-Fi 6Eに対応した端末が続々と登場してくると思われます。私たちはWi-Fi 6Eに留まらず、すでにWi-Fi 7、8時代を見越して、さまざまな製品の開発にチャレンジしています。Wi-Fiの高速化・品質の向上を図るのであれば、ぜひ、当社のメッシュWi-Fiを試していただきたいと思います」と杉田氏は語った。
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