現在、O-RANアライアンスを中心に無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化(O-RAN)とインテリジェント化の取り組みが加速している。O-RANが求められている背景には、マルチベンダーによる柔軟なネットワーク構成を可能にしたいという通信事業者の強いニーズがある。そして、このオープン化の恩恵を通信事業者にもたらすためには、オペレーションやネットワークの最適化を自律的かつ自動化すること、すなわちインテリジェント化も必要だ。このインテリジェント化を担う機能が「RIC(RAN Intelligent Controller)」である。
RANリソースを最適化するRICは2種類のコンポーネントで構成RICはクラウドネイティブなRANの中心的なコンポーネントだ。「RICはソフトウェア開発者によって開発されるxAppやrAppと呼ばれるRAN制御アプリケーションをホストするように設計されたオープンプラットフォームです」と、VIAVI チーフワイヤレスアーキテクトの千葉恒彦氏は説明する。RICの市場は急速に拡大しており、「これからも多くのサードパーティ企業によって、RAN制御アプリケーションが開発されていくと考えられています」と千葉氏は語る。
VIAVI チーフワイヤレスアーキテクト 千葉恒彦氏
O-RANアライアンスではRICを「準リアルタイムRIC」と「非リアルタイムRIC」の2種類のコンポーネントに分けて定義している。いずれもネットワークリソースの最適化やサービスの機敏性向上を可能にする機能だ。準リアルタイムRICは10ミリ秒から1秒以下の範囲でRANを制御したいというユースケースをサポートする。一方の非リアルタイムRICは1秒以上かかる機械学習やAIを使うようなユースケースをサポートする。「特に重要になるのが、準リアルタイムRICによるネットワークリソースの最適化です」と千葉氏は説明する。