<特集>ネットワーク未来予想図2022IoTイーサは2022年始動 1km先へ通信と電源を同時提供できるエコ規格

新型コロナなどの影響で製品供給に遅れが生じていたIoT向けのシングルペアイーサネット規格「IEEE802.3cg(10BASE-T1)」。だが2022年中に、市場展開の準備が整いそうだ。

人類にとって最重要課題の1つとなった環境問題。その解決のため、イーサネットの世界でも、省資源化に貢献する新規格が登場している。「シングルペアイーサネット」と呼ばれる一連の規格群だ。

通常のLANケーブルは、8芯4ペアの信号線を使用する。対して、シングルペアイーサネットが用いるのはその名前の通り、1ペアの信号線だ。つまり、線材を75%削減できる。コネクターも省資源で、そのサイズは従来比約半分に小型化。ケーブルもコネクターもコンパクトなため、配線スペースを節約でき、取り回しも楽だ。

シングルペアイーサネット用のケーブルとコネクター
シングルペアイーサネット用のケーブルとコネクター

「2030年に向けて、様々な領域で新しい動きが起きている」

IEEE、ISO、IECで策定されたシングルペアイーサネットの国際標準規格に基づき、国内での共通仕様を規定している情報通信技術委員会(TTC)IoTエリアネットワーク専門委員会の安川昌毅氏は、こう指摘したうえで次のように続ける。

情報通信技術委員会(TTC)IoTエリアネットワーク専門委員会 安川昌毅氏(NECマグナスコミュニケーションズ)
情報通信技術委員会(TTC)IoTエリアネットワーク専門委員会 安川昌毅氏
(NECマグナスコミュニケーションズ)

「LANケーブルにはこれまで大きな変化がなく、20年くらい前のケーブルが今でも使われている。2030年までに既存ケーブルからの移行を目指そうと各社と話している」

日本電線工業会によると、通信用電線・ケーブルの出荷量は年間1万5157t(2020年度)。このすべてがLANケーブルなわけではないが、その一部でも線材を4分の1にできることのインパクトは大きい。まして、シングルペアイーサネットは通信と電源を同時提供できるため、電源ケーブルをなくすこともできる。

既設のまだ使えるLANケーブルを無駄にすることもない。対応装置を用いれば、4回線分のシングルペアイーサネット用ケーブルとして利用可能だ。

「ケーブルなどの資材廃棄に伴うCO2排出の削減は、NTTでも非常に重要なテーマの1つになっている」。TTC IoTエリアネットワーク専門委員会の委員で、NTTアドバンステクノロジに所属する田島公博氏はこう語る。

情報通信技術委員会(TTC)IoTエリアネットワーク専門委員会 田島公博氏(NTTアドバンステクノロジ)
情報通信技術委員会(TTC)IoTエリアネットワーク専門委員会 田島公博氏
(NTTアドバンステクノロジ)

月刊テレコミュニケーション2022年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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