エアバス、NTT、NTTドコモ、スカパーJSATの4社は2022年1月14日、上空約20kmの成層圏を飛行する高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)の早期実用化に向けた研究開発、実証実験の実施に関する協力体制構築の検討を推進するための覚書を締結したと発表した。
この覚書の締結は、HAPSの早期実用化に向けた研究開発の推進を目的としている。エアバスのHAPS「Zephyr(ゼファー)」とNTT、ドコモ、スカパーJSATの通信ネットワークのコラボレーションにより、HAPSの接続性およびHAPSを利用した通信システムにおける有用性の発見、および技術やユースケースの開発に向け、4社間の連携を推進していく。
衛星・HAPSによる通信サービスの提供イメージ |
今後4社は、HAPSによる成層圏からの通信に焦点を当てた技術に関する研究開発に加えて、HAPSの機体開発やHAPSの運用に向けた標準化・制度化への働きかけ、およびHAPSによるネットワークサービスの商用化に向けたビジネスモデルに関する検討も行う。主な研究開発の対象として、地上の移動機との接続や基地局バックホールなどにHAPSを適用する可能性に関する検討や、HAPSを利用した通信システムにおける様々な周波数帯の通信性能の評価、およびHAPSと衛星および地上基地局との連携に向けた技術的な検討を行い、宇宙RAN事業を促進する。また、今後は衛星・HAPSなどのNTN技術によるネットワーク構築の実証実験を視野に入れた協力体制も推進する予定。
なお、ドコモ、エアバスの2社は、エアバスが開発したHAPS「Zephyr S」を用いた成層圏と地上間の電波伝搬の実証試験に成功している。この実験により、HAPSによる成層圏から地上への持続的なネットワーク提供が可能であることを実証済みだ。