次世代Wi-Fi特別講義5<IEEE 802.11baとは?>新発想で超低消費電力、IoT市場でLPWAに対抗

消費電力1mW未満――。LPWAも顔負けの低消費電力を目指しているのがIEEE 802.11baだ。従来のWi-Fi規格の低消費電力機能とは異なる発想により、LPWAの独壇場となっているIoT市場への浸透を図ろうとしている。

アップルも11baの活用を検討Q どのような11baのユースケースが想定されていますか。

足立 何かあったときだけ起動するので、単発的に発生するような用途に適しています。一例がスマートホームで、居住者が帰宅したタイミングに合わせて照明を点けたり、カーテンを開けるといったことが可能になります。身近なところでは、スマートフォンとスマートウォッチのペアリングへの活用も考えられます。着信時やメール受信時のみ通知を受け取るようにすれば、スマートウォッチのバッテリー駆動時間を延ばすことができます。倉庫で多くの荷物の中から所望の荷物の状態を確認するようなことも可能です。

11baにはアップルも関心を持っていて、対象エリア内に入るとAPからの通知を受けてスマートフォンが起動し、接続の上、通信を開始するという使い方を検討しています。

Q 11baの標準化の時期はいつ頃になりそうですか。

足立 実は、11baの標準化活動はすでに終了しており、間もなくIEEE 802.11ba-2021として正式に発行されることになっています。

ただ、Wi-Fi Allianceでの認証に向けた活動はないという認識で、製品化の話も聞こえてきません。IoTにおけるWi-Fi活用がもっと進めば、パワーセーブモードよりも確実に低消費電力を実現する11baの需要が高まってくると思います。

月刊テレコミュニケーション2021年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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