IoTで「持ち運べる」水処理場 ソフトバンクと提携したスタートアップWOTA

上下水道という巨大設備によって維持されている水インフラ。その自律分散化により、水インフラの民主化を目指すスタートアップがWOTA(ウォータ)だ。IoTやAIを活用し、既存の水インフラの「制約」を取り払う。

水処理施設を持ち運べるサイズに圧縮したスタートアップがある。「人と水のあらゆる制約をなくす」という理念を掲げ、2014年に創業したWOTAだ。「宇宙ステーションで使われる、水を循環利用する手法を、地上で安価に実現できる」とWOTA 広報担当の稲佐将太氏は説明する。

WOTA 広報担当 稲佐将太氏
WOTA 広報担当 稲佐将太氏

コアとなっているのは、IoT、ビッグデータ、AIの3つの技術だ。小型でコストも10分の1くらいだという水処理用のIoTセンサーを開発。このセンサーで収集したビッグデータを利用し水処理を最適制御・自律制御するアルゴリズムを機械学習で生成。各装置から集まるビッグデータをもとに、アルゴリズムをアップデートしていく。

水の中から不純物を取り除く「水処理」には従来、大規模な水処理施設と、長年の経験で水質を判断する熟練スタッフが必要だった。しかし、WOTAの技術を用いることで、この常識が覆る。「98%以上の再生率で水を循環利用できる技術が、既存の大規模水処理場の10万分の1のサイズで持ち運べる」

上下水道が広く整備された日本でも、災害時や山間地など水に困る機会・場所は多くある。まして、世界を見渡せば、上下水道が整備されていない地域はまだまだ少なくない。「巨額の費用と何十年もの歳月が必要な上下水道と違って、我々の技術なら持って行けば、その日から使ってもらえる。我々が成し遂げたのは、小さくて自律分散型の民主的な水インフラだ」と稲佐氏は言う。

月刊テレコミュニケーション2021年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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