IPと光を統合するRouted Optical NetworkingCisco Crossworkは、Converged SDN Transportへのシフトを担う「Routed Optical Networking」の運用を簡素化する上でも有効だ。
Routed Optical Networkingは、「IPと光のサービスを単一のネットワークレイヤに統合することで、構築・運用コストを削減するだけでなく、ネットワークの効率性を高め、新たなサービスへの対応力を高めるアーキテクチャです」(シスコ 執行役員 サービスプロバイダー アーキテクチャ事業担当の高橋敦氏) 。
シスコ 執行役員 サービスプロバイダー アーキテクチャ事業担当の高橋敦氏
ただ、Routed Optical Networkingの効果を最大化するには適切な運用が不可欠になる。IPと光を統合したマルチベンダー、マルチレイヤー、マルチドメインの中でトポロジを可視化し、ライフサイクルにまたがる運用、プロアクティブな運用を実現する上で中心的な役割を果たすのが、SDNコントローラである「Cisco Crosswork Network Controller」(CNC)となる。
さらに、シスコが2021年6月に買収したSedona Systemsの「NetFusion」もポートフォリオの1つに組み込まれる。
NetFusionは、IPだけでなくオプティカルのドメインに関するデータすべてを収集する。具体的にはIPルータなどデバイスやインターフェイスに関する情報から物理的な光ファイバの配線、マンホールの場所に至るまでを集約し、統一したネットワークモデルを構成し、これまで別々の担当者がバラバラに運用管理してきたIPネットワークとオプティカルネットワークの両方を統合的に管理可能だ。さらに、収集した情報を元にネットワークモデル、いわば「デジタルツイン」を作り上げることで、設計のシミュレーションを行ったり、迅速に障害の影響範囲の特定や原因の切り分け、修復を行うこともできる。
図表3 Sedona NetFusion – IPとOpticalの両レイヤを一元管理する階層化コントローラ
5GやRouted Optical Networkingの進展によってより高度な運用が求められているが、Cisco CNCやNetFusionを活用することで、ネットワークトランスポート運用の高度化が実現できる。
通信事業者を取り巻く環境はこの先も変化し続けるだろう。インフラ面では、ネットワークをよりプログラマブルかつシンプルにする「Segment Routing IPv6 (SRv6)」の採用が広がり、その上で自動化が進んでいく。同時に、ネットワークを抽象化したサービスモデルに加え、サービス単位の健全性情報も把握する「サービスアシュアランス」の実装も広がると見込まれる。これにより、インテントに沿った設定を投入するだけでなく、その後も意図通りに健全に動いているかどうかを監視し、問題があれば是正する部分も自動化されていくだろう。
そんな中、これまで必ずしも人に優しくなかったネットワーク運用を、4つの原則に沿ってソフトウェアで自動化し、サービスモデルを通して抽象化することによって、「人に優しい世界」に変えていくことができるかもしれない。ネットワークオペレーターの役割も、より戦略的な新しいものへと進化していく可能性がある。自動化に向けて模索を続ける通信事業者の中から、遠からずそうした成功例が出てくるに違いない。
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