<特集>5G時代の未来シティNTTのスマートシティ海外戦略 2023年までに全米100都市に導入目指す

米ラスベガス市を皮切りに、スマートシティを海外展開するNTT。新型コロナでスマートシティへの投資を控える傾向も海外ではあるが、人流データの「3密」回避への活用に商機を見出している。

スマートシティの実現には、AIやIoTの活用が不可欠だ。NTTグループは、これらの技術を活かした街づくりを国内各地で進める一方、海外でも積極的に展開している。

海外における初の大型案件が、米ラスベガス市だ。

世界有数の観光都市である同市は、2017年10月に50人以上が亡くなる無差別銃乱射事件が発生。公共安全の向上と観光客の呼び戻しという喫緊の課題を抱えていた。

2018年9月から始まった実証実験では米デル・テクノロジーズとも協業し、①レスポンス時間(一次対応者の派遣時間)の短縮、②デジタル技術の活用による「現場状況把握」の強化を目的とした公共安全ソリューションを構築した。

具体的な仕組みはこうだ。

市内のイノベーション地区に、高解像度ビデオカメラや音響センサー、IoTデバイスを配備し、群衆人数や車両数、銃声や悲鳴といった異音をセンサーの近くに設置したマイクロデータセンター(エッジ)とラスベガス市のデータセンター(コア)で収集・分析。市のコントロールセンターのダッシュボード上に情報を配信し、適切な対応に役立てる(図表1)。

図表1 ラスベガス市におけるNTTソリューションの概要(画像クリックで拡大)

図表1 ラスベガス市におけるNTTソリューションの概要

例えば群衆人数の監視の場合、特定エリアに多くの人が集まっている映像を監視しているだけでは、どう判断すればいいのか分からない。

これに対し、NTTの開発したソリューションでは画像解析技術を用いて、敷地に対する人の占有率を自動的に検出する。リアルタイムに対応すべき情報についてはエッジ側で処理を行う一方、コア側では蓄積されたデータを基に相関分析を行い、「何時何分に、どこでどれくらいの人が密集する」という将来予測が算出される。これらの情報から、人が密集し事故が起こりそうな場所に対しては警告を発して注意を促したり、今後さらに人が集まってくる可能性のある場所については警察官や消防車を出動させて対応にあたるといった判断を迅速に行えるようになる。

コントロールセンターのダッシュボード

コントロールセンターのダッシュボードには、特定エリアにおける人の占有率が表示される(画像クリックで拡大)

ラスベガス市では自動車の逆走による事故が頻発していが、映像から自動車が逆走かどうかを自動解析し、逆走が多く発生する場所・時間帯を割り出して統計情報化に成功した。このデータを活用し、市は標識を追加するなど逆走件数を減少させる手立てを講じることができたという。

月刊テレコミュニケーション2021年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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