「MCAアドバンス」が4月開始 LTE方式でデジタルMCA無線を高度化

「MCAアドバンス」は、デジタルMCA無線を高度化した業務用無線システムだ。LTE方式の採用により、災害時に画像や映像もリアルタイムで伝送可能になる。医療やインフラ点検など用途の拡大も目指している。

4月1日、デジタルMCA無線を高度化した「MCAアドバンス」のサービスが新たに始まる。

デジタルMCA無線とは、一般財団法人移動無線センター(MRC)が提供する自営網による業務用無線システムだ。800MHz帯の電波を使い、複数の通信チャネルを多数の利用者が共同利用する。対応端末から送信された信号がMRCが運用管理する中継局を経て多数の無線端末に同時に届くことで、グループ全体で情報を共有できる仕組みだ(図表)。

図表 MCAアドバンスの全国網の構成

図表 MCAアドバンスの全国網の構成

デジタルMCA無線は、災害に強いことが最大の特徴となっている。

中継局は、いずれも山頂や高層ビルの屋上など標高が高く見通しの良い場所に設置されているため、半径約20~40kmと大ゾーンのサービスエリアを確保し、約120局で全国の主要都市をカバーできる。局舎は耐災性の高い設計で壊れにくいうえ、非常用発電機の整備により、停電が発生しても72~90時間は電力を供給し続けることが可能だ。

東西2カ所にある統制局には、アプリケーションサーバーや運用管理サーバー、監視サーバーなどが設置されており、各サーバー群の二重化に加えて、どちらかの統制局がダウンした場合、もう片方で補完するシステム構成を採る。

中継局と統制局をつなぐバックホール回線については、有線/無線で二重化しているほか、万が一、切断しても中継局の折り返しにより通信が担保される。

近年、各地で自然災害が頻発しており、被災地では携帯電話の途絶・輻輳が起きている。これに対し、デジタルMCA無線は2018年の北海道東部胆振地震や翌2019年の房総半島台風の被災地でも通信サービスを継続できた。このため、最近は非常時の通信手段として、デジタルMCA無線を導入する企業や自治体が少なくないという。

月刊テレコミュニケーション2021年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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