「日本の企業が元気に活躍し、成長するようバックアップすることが我々ドコモの使命」――NTTドコモ執行役員第一法人営業部長の真藤務氏はこう言い切る。
ドコモの法人事業部では、第一法人営業部と第二法人営業部で主として大企業を担当している。このうち第一法人営業部が受け持つのは、公共・建設・不動産・運輸・金融などインフラ系の分野だ。早くから企業への携帯電話/モバイルシステム導入を推進してきたドコモの中でも最もドコモ法人らしい部署で、法人営業最前線としての自負と使命感も強い。
ドコモ法人営業に期待されているのは、これまで牽引してきたコンシューマー市場に代わって、いよいよ法人市場が前面に踊り出て需要を開拓すること。しかし、米リーマン・ショックの直撃を受け、世界的な景気後退の影響で法人市場は一変し、企業のモバイルソリューションへの投資意欲はそがれてしまった。第一法人営業部でも、さまざまな大規模プロジェクトが延期、場合によっては中止を余儀なくされた。そして、2010年に入り、ようやく回復基調に戻り、いよいよこれから再飛躍という局面にある。
このプロセスにおいて、ドコモ法人は重要なテーマに直面した。それは「企業を儲けさせ、成長させるケータイとは何か」ということだ。ライバルが法人分野に本格的に参入し、ドコモが「価格競争」「割引競争」に追われた面は否めない。そして景気後退により「コスト削減」の波が襲い、少なからぬ解約があった。
ここで、「顧客企業に役立つケータイとは何か」という原理原則に向き合う中で、「安さだけが勝負の携帯電話から、会社の業績を伸ばすモバイルソリューションへ」というステップアップを果たそうとしたのだ。
真藤部長はこう述べる。「単なる電話やメール連絡だけではなく、携帯電話/モバイルシステムを使うことによってその企業を伸ばすソリューションを提供すれば、ドコモの携帯電話/モバイルシステムを使わない企業はチャンスを逃すことになる。モバイルソリューションを顧客企業に提供することで企業が成長するようにバックアップすることが我々の目標だ」
「もっと安く」「これ以上は無理」といったやり取りを繰り返すのではなく、「ドコモと企業が売上増や顧客増など同じ方向を向いて取り組む方に、すべての軸を考えるようになった」(真藤氏)。
NTTドコモ 執行役員 法人事業部 第一法人営業部長 真藤務氏 |
そうなると、ケータイは企業内の業務効率化だけではなく、BtoBtoCのフレームで極めて有力なモバイルマーケティングツールにもなる。モバイルを使った企業の成長を新しい角度から追求する役割を担った「モバイルデザイン推進室」が第一法人営業部内に設置された。