<特集>ローカル5Gのホントローカル5Gは普及するか 期待のSub6・SA方式、その本当の実力

ローカル5Gの“本命”と目されるSub6帯・SA方式による運用がついに可能になる。これでいよいよ高額な初期投資などの課題は解決され、ローカル5Gの本格普及となるのか。徹底取材した。

5Gを自営無線として使えるローカル5Gへの注目は相変わらず高い。

2019年12月に無線免許申請の受付が開始されると、富士通やNEC、NTT東日本、東京都や徳島県といった自治体、ケーブルテレビ事業者らが続々と申請。免許人(商用免許)となった企業・団体の数は20に届こうとしている(図表1)。

図表1 ローカル5Gの免許取得者(11月16日現在)

図表1 ローカル5Gの免許取得者(11月16日現在)

これに実験局免許の取得者も加わり、全国各地で実証・トライアル環境が構築されている。

NTT東日本の「ローカル5Gオープンラボ」(東京都調布市)や富士通の「FUJITSU コラボレーションラボ」(神奈川県川崎市)など、ローカル5G関連製品/ソリューションを提供する企業が、パートナーやユーザーとソリューション開発を行うためのオープンな開発・検証拠点を開設。11月2日には東京都もNTT東、東京大学との協力の下、中小企業のローカル5G等の活用を支援する「DX推進センター」をオープンした。

“地方”も負けてはいない。

大阪ではオプテージが「OPTAGE 5G LAB」を開設。九州ではQTnetと九州工業大学が、徳島や愛媛、富山、愛知では自治体とCATV事業者が主導して実証・トライアルを計画。10月には秋田ケーブルテレビが東北で初めて免許を取得し、今年度中にローカル5Gを使った無線サービスを事業化すべく実証を進める計画だ。

周波数は一気に12倍ローカル5Gを試そうとするユーザー企業の動きも活発だ。

NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 IoTサービス推進担当 担当部長の渡辺憲一氏は「9月と10月だけでオープンラボに40社が来られた。具体的な検証を行っているお客様もいる」と話す。ラボ設立を発表した昨年末以降では「100社以上と話をしている。予想より早く、特に大手企業に関しては普及が見込める展開になりつつある」。

ただし、2020年はあくまで仕込みの1年だ。ローカル5Gは2021年にいよいよ本番を迎える。

法制度については、これまで周波数は28GHz帯(ミリ波)のみで帯域幅も28.2-28.3GHzの100MHz幅に過ぎなかったが、2020年12月に4.5GHz帯(Sub6帯)を含めた周波数の拡張が行われる。帯域幅は一気に12倍に拡大(4.6-4.9GHz、28.2-29.1GHz)。屋外利用も可能になる。

また、制御信号用のアンカーとしてLTEを使うNSA(ノンスタンドアロン)方式に加えて、5G NR(New Radio)のみを用いるSA(スタンドアロン)方式によるシステム構築も可能になる(図表2)。

図表2 NSA(Non Stand Alone)とSA(Stand Alone)

図表2 NSA(Non Stand Alone)とSA(Stand Alone)

ミリ波に比べて電波が扱いやすい「Sub6」と、アンカーバンドが不要な「SA」の組み合わせをローカル5Gの本命に推す声はベンダー側、ユーザー側ともに多い。NEC デジタルネットワーク事業部 上席事業主幹の藤本幸一郎氏は、新制度が施行される「この12月が本命。ローカル5G導入を支援するサービスも、それに向けて準備してきている」と語る。

月刊テレコミュニケーション2020年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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