NTT東と慶應SDMが宇宙IoTで協力 システム×デザイン思考でコロナ後にDX

0から1を産み出すデザイン思考と、1から100を産み出すシステム思考。両者と宇宙IoTを組み合わせることで、様々な課題解決が可能だ。NTT東日本と慶應SDMは協力して、アフターコロナでのDXを目指す。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)とNTT東日本は2020年5月11日、宇宙IoTとシステム×デザイン思考を用いた社会課題解決を目指す共同研究を開始したと発表した。NTT東日本が持つデジタル技術や社会インフラと、慶應SDMで研究として扱っているシステム思考とデザイン思考、宇宙IoTを用いた社会課題解決への知見を組み合わせる(図表)。

図表 慶應義塾大学とNTT東日本共同研究の概要

図表 慶應義塾大学とNTT東日本共同研究の概要

「アフターコロナの社会課題を継続的に、ソーシャルビジネス化して解決していく。その方法論を構築したい」とNTT東日本 デジタル革新本部 デジタルデザイン部 部長の阪内澄宇氏は共同研究の狙いを語る。


NTT東日本 デジタル革新本部 デジタルデザイン部 部長 阪内澄宇氏

0から1を産み出すデザイン思考デザイン思考とシステム思考とは、どちらも課題解決のための思考のフレームワークである。「簡単に言うと、デザイン思考は0から1を創り出す、アーティストやデザイナーが通常用いる思考をビジネスパーソンにも適用するような考え方だ。前例のないアイデアを産み出す時などに有用だ」と慶應SDM教授の神武直彦氏は解説する。


慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 神武直彦氏



例えば、ユーザーの課題を把握することはビジネスの基本だが、必ずしもユーザー自身が課題を把握しているとは限らない。そこで、デザイン思考ではユーザーに単に課題を聞き出すだけでなく、観察などで得られることを大切にする。AppleのiPodもデザイン思考に基づき、ユーザーがどのように音楽を聴いているか観察することで、当時に流行していたウォークマンなどがCDからPCを経由してプレイヤーに移している煩雑さに潜在的ニーズを発掘。全ての曲を持ち運べる音楽プレイヤーとしてiPodは開発されたとしている。

このように現場の状況を様々な視点で観察し、理解につとめることで、真の課題を見つけ出すといったことがデザイン思考の考え方を利用する利点のひとつである。

それに対して「システム思考はモノのつながりに注目して、1から100を産み出すような思考法」だ。「例えば、街には川や道路など様々なハードがある。昔からいる人や新しく住み始めた人もいる。これらのハードや人が複雑に組み合わさっているわけだが、それらがどう繋がっているのか把握する。つながりを俯瞰的に理解することが大切だ」。

月刊テレコミュニケーション2020年7月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。