台湾2社が新製品を披露今後の注力分野に挙げる海外展開については、2017年末に海外対応版モジュールの提供を開始して以来、着々と下地が整ってきている。
現在、米・韓・タイ・ベトナム版があり、台湾版も今年販売を始める。「国内版モジュールとサイズ、インターフェースともまったく同じ。既存のSmartHop対応製品に載せ替えるだけで海外へ展開できる」(山本氏)のが特徴だ。横河電機(米・韓向け)、ACTIVIO(タイ向け)、エム・システム技研(米・韓・タイ・ベトナム)が、海外向けの製品をリリースしており、ラインナップが充実してきた。
さらに、台湾メーカーもSmartHop対応製品の開発に乗り出した。今回のカンファレンスにはZOTECH、FerryBitsの2社が参加し、新製品をアピールした。
台湾メーカーのZOTECHとFerryBitsが開発・製造するSmartHop対応製品「Z920K」(左)と「EDGEX」。
Z920KはBluetooth Low Energy(BLE)とNFC、EDGEXはBluetooth通信機能を備える。
スマートフォンと連携して、専用アプリから設定の入力・変更、状態監視が可能だ
ZOTECHの「Z920K」、FerryBitsの「EDGEX」とも、特徴的なのは導入・運用の容易性だ。Bluetoothでスマートフォンと通信できるようになっており、専用アプリから設定情報の入力・変更、状態監視等が行える。IT技術者でなくても扱えるようにするための工夫だ。
また、EDGEXについては、取得したデータをGoogleドライブに記録し、スプレッドシートで閲覧・管理する機能も合わせて提供するなど、IoTを始めやすくする仕掛けも用意している。両社とも台湾でフィールドテスト/実証を進めながら、米韓向け製品も展開する計画だ。
AIエッジと組み合わせもう1つの注力分野が、AI/エッジコンピューティングと組み合わせたソリューション開発である。
OKIは昨年10月に、AI推論処理に適したエッジコンピューター「AE2100」を発売した。インテルのディープラーニング推論環境「OpenVINO ツールキット」とAIアクセラレーター「インテル Movidius Myriad X VPU」を2チップ搭載し、エッジでの高速な推論処理を実現した。IoTプラットフォーム事業部長の西田慎一郎氏によれば、「1つのCPUで行う場合に比べて、AI推論処理の速度は25倍」という。
昨年10月にリリースしたAIエッジコンピューター「AE2100」
また、OpenVINOを使えば、既存の学習モデルをコンバートして活用することができるため、導入の敷居も低い。マイクロソフトのMicrosoftAzure IoT Edge認定を取得し、「PaaSとの親和性を高めた」(同氏)のも特徴で、クラウドで作成されたAIモデルをエッジに展開・利用することが可能だ。
これにより、幅広いIoTユースケースが開拓できると西田氏は強調した。Smart Hopで収集したセンサーデータをエッジ処理することでリアルタイム性を高めたり、AE2100で画像・映像を解析した結果をクラウドに送るなどの用途で組み合わせる。「設備故障の予兆検知や、工事現場で危険を監視するといったリアルタイム性が要求される領域でパワーを発揮できる」と話す。
OKIは、この“AIエッジ”領域もエコシステムを基盤にビジネスを拡大していく方針だ。新たに立ち上げた「AIエッジパートナー」制度にもすでに50社超が参加。エッジネットワークの構築で実績を重ねてきたSmartHopとの相乗効果で、さらなる飛躍を狙う。