――IDCの調査では、SolarWindsはネットワーク管理ソフトウェア市場での世界シェアが約22%で1位です。
河村 システム管理ソフトウェア市場でのシェアもどんどんアップしており、現在はマイクロソフトが1位ですが、4位まで来ています。
グローバルでの顧客数は約30万社で、米Fortune 500の全社に導入されています。また、日本の顧客数は約2000社です。ビジネスは大変好調に推移しています。
――好調の理由は何ですか。
河村 ネットワークやシステムがどんどん複雑化するなか、我々は「ITをシンプルにする」をモットーに製品を提供してきました。そこがお客様にヒットしています。
現在のトラブルシューティングは、責任のなすりつけ合いです。バラバラに作られたネットワークやシステムがたくさんあって、誰も統合的に監視できていません。SolarWindsはマルチベンダー環境を統合的に監視できるパワフルなソリューションを提供しており、1つの画面ですべてのネットワークやシステムを監視できる点が非常に大きな魅力となっています。
――他の多くの監視ソリューションベンダーも、1つの画面で統合管理できることを特徴として打ち出しています。他社との違いは何ですか。
河村 定量的な説明は難しいですが、「ユーザーインターフェースがすごくいい」「かゆいところに手が届く製品だよね」といった評価をお客様からは多数いただいています。なおかつ、小規模から大規模までをサポートできますし、価格もお求めやすいのが特徴ですね。また、導入後のお客様に無償で提供しているテクニカルトレーニングも好評いただいています。そのため、お客様の更新率も94%と非常に高いです。
――価格はどのくらい安いのですか。
河村 SolarWindsの競合は、大きく2つに分けられます。1つは、日立や富士通、NEC、IBMなど大手システムベンダーの製品です。営業トークでよく言うのですが、こうした大手製品と比較すると、我々は一桁安いです。ですから結構、お客様はびっくりされますよね。
もう1つの競合は、いわゆるOSSです。無償で使えますから一見安く見えるのですが、最初から豊富な機能が盛り込まれている我々の製品とは違い、作り込みが相当必要で、そのためのコストがかかります。加えて、どうしても特定の人に依存しますから、将来的なメンテナンスの問題があって、結果的にTCOは我々の方が安いです。
クラウドの遅延原因も特定――SolarWindsでは、複雑化するネットワークやシステムの統合監視をどのように実現しているのですか。
河村 統合監視の基盤となるのが「Orionプラットフォーム」です。豊富なAPIやアラート機能、レポート機能など、SolarWindsの様々な製品で共通に使えるプラットフォームであり、新しい製品を購入すると、このプラットフォームに挿していくイメージになります(図表)。
図表 Orionプラットフォームの全体イメージ
別々の製品であっても、Orionプラットフォーム上でデータベースを共有する形になりますので、すべてのデータを関連付けて1つの画面で監視できます。このOrionプラットフォームがSolarWindsの大きな強みの1つとなっています。
例えば、アプリケーションの遅延はどこで起こっているのか。ネットワーク管理とシステム管理の製品を組み合わせたAppStackという機能を使うと、ネットワークからサーバー、アプリケーションの処理まで透過的に可視化して原因を特定できます。
――最近はクラウドとオンプレミスのハイブリッド環境の統合監視の重要性も高まっていますが、どんなソリューションを用意していますか。
河村 Net Pathという強力な機能があります。例えばOffice 365のパフォーマンスが悪くなったとき、ISPのところで遅れているのか、それとも社内ネットワークが原因なのか、あるいはデスクトップに問題があるのか、NetPathを活用すれば一元的に監視できます。
通常は、途中のファイアウォールでブロックされるので、透過的には監視できません。しかし、我々はIPではなく、TCPのレイヤーでトレースしているので、透過的に見ることができます。IaaSにしろ、SaaSにしろ、遅延の原因が一目で分かりますので、お客様にも非常に受けています。